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前WEリーグ・ノジマステラ神奈川相模原監督の北野誠さん(55)が今夏、京都で女子のサッカースクール「ウィレイル」を立ち上げた。
名称はWEリーグを目指す女子選手のレール作りを意味する造語で、対象は小、中学生。かつてカマタマーレ讃岐(現J3)などJクラブでも指揮し、男女のプロ選手を指導した北野さんに、今後の抱負を聞いた。【横田和幸】
◇ ◇ ◇
-京都サンガにユース・コーチで在籍した04年以来、18年ぶりに京都へ戻ってきた
北野 生まれは香川県ですが、京都サンガで現役を終え、一番長く住むのは京都。どこで仕事をしようが、帰って来る場所はここしかありません。
-女子のスクールを立ち上げた理由は、なでしこリーグ、WEリーグの計2年間、ノジマを指揮したからか
北野 女子の普及、裾野を広げたいのが一番です。小学生年代は女子だけのチームは少なく、男女混合チームだと試合に出る機会も少ないと聞く。中学生になるとさらに活動の場が少なくなり、大好きなサッカーを辞める選手も多い。そんな女子選手の受け皿を作りたいという思いです。サッカーを学べる環境をつくり、育成年代に適切な指導をすれば、女子選手は必ず可能性が広がると思います。
-具体的にどんなスクールになるのか
北野 会場は更衣室、シャワー付きの伏見桃山のフットサル場になります。チームを指導するのではないので、監督は置かない。スクールなので毎週、月曜、水曜に各2コマ、25人ほどの授業を考えています。8月中に無料体験を行い、9月から本格スタートの予定です。
-北野さんが指導していくのか
北野 私は代表の立場で必要に応じて指導はする。基本は私のメソッドを子供たちに伝えてくれる、なでしこリーグ経験者の女性コーチ2人が指導していく。女子選手の受け皿同様に、女子の指導者が活躍できる場が少ないのが現状。ここでは、指導者も女性が主役になってほしい。
-どんな授業になるのか
北野 最近はドリブルなど派手なことを教える風潮がある。それって、どうなん? とすごく感じています。パリ・サンジェルマンの試合を見ていても、それほど派手なことはしてません。僕は個人戦術から教えたい。スペインは個人戦術から、日本は個人技から始める。だから戦術でスペインに勝てない。個人戦術が身についていないと、せっかくの個人技を発揮することはできません。
-なでしこジャパンが11年女子ワールドカップ(W杯)で世界一に輝いたが、その後は厳しい時代へと戻ってしまった
北野 あの時は女子のバロンドールにも選ばれた、澤穂希という絶対的なリーダーがいたから、ミラクルを起こせた。あれから11年で澤のような存在は出ていない。2度と起こらないのがミラクル。だから、もっと裾野を広げないといけないと思う。
-WEリーグの環境やレベルはどうだったか
北野 Jリーグの監督を長年やっていたから、分かることがある。男子って論理的に指示しないと、納得してやらない。だけど女子は論理から入ると、逆に引いてしまう。ノジマの1年目は信頼関係を築くのが大変で、2年目に論理の指導に入った。難しいけど、すごく主体性を持ち、自分たちでやり始めてくれた。
-未来のWEリーガーの育成へ意気込みを
北野 このスクールでは誰にも遠慮せず、サッカーの本当の楽しさを伝えていきたい。その先に選手自ら判断し、原理原則の中で自由にプレーできる選手を育てたい。育成年代から主体性を持たせながら練習を重ねれば、女子のプレーの質は必ず上がる。女子サッカーには可能性があるということです。
◆クラウドファンディング実施 サッカースクール「ウィレイル」では、開校の準備資金をクラウドファンディングで集めている。目標額は150万円。スクール施設料、用具費、人件費、リターン制作費(讃岐うどんなど)にあてられる。
詳細は公式ホームページにて。https://ift.tt/bTgMpRt
◆北野誠(きたの・まこと)1967年(昭42)7月17日、高松市生まれ。帝京2年時はFWとして全国高校選手権で大会2連覇を達成。卒業後は日立(現柏)、京都紫光クラブ(現京都)でプレー。引退後は京都でスカウトなどを務め、09年J2ロアッソ熊本監督、10年から当時四国リーグのカマタマーレ讃岐をJFL、J2へと昇格させて計9年間指揮。19年途中から当時J2のFC岐阜、20年からなでしこリーグのノジマ監督に。
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