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Friday, October 27, 2023

取引先失った「幸運」 不屈の部品会社、危機はねのけ利益20倍 - 日経ビジネスオンライン

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主力取引先を失っても、「ケイレツ」から放り出されても、成長を諦めなかった部品メーカーがある。栃木県のある家族経営の部品メーカーは思い切った転身を経て、規模は小さいながらも利益をしっかり出す企業へと生まれ変わった。100年に1度の変革期を恐れることはない。強みを自覚し、活躍の場を見いだすことで道は開ける。

 「社長、これからどうする」。2013年の年明け。栃木県那須烏山市に本社と工場を構える高津製作所で、息子で常務の高津圭佑が父の高津淳二に迫っていた。

 1980年代から2次部品メーカー(ティア2)として、県内の大手部品メーカーに変速機向けのギアを供給してきた。だが、この納入先が事業から手を引いた。競争が厳しく採算が悪化していたことに加え、中長期的にエンジン部品の先行きが見えなくなったことから撤退を決めたようだった。

 高津製作所が被った打撃は大きかった。撤退前の駆け込み需要をこなした途端、工場はガラ空きに。売上高は3分の1に激減した。

10年前、主要な納入先を失ったことで危機にひんした高津製作所の高津淳二社長(右)と高津圭佑常務

10年前、主要な納入先を失ったことで危機にひんした高津製作所の高津淳二社長(右)と高津圭佑常務

 取引先の開拓は焦眉の急。道は2つあった。業界のつてを頼り、車関連の取引先を見つけるか。自動車部品に見切りをつけ、新しい分野に乗り出すか。トップの淳二が選んだのは後者だった。

 自動車業界の在り方にずっと疑問を抱いていた。コスト削減ばかり優先され、複雑な加工は「手間賃がかかる」と嫌がられた。コストを減らしても値下げによって収益は取引先に持っていかれる。モデルチェンジの間隔が長く、10年近く同じ部品を作り続けることもある。これでは技術力も育たない。

「ゆでがえる」免れた

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