トヨタ自動車は25日、2023年度下期から1次部品物流事業者に対して支払う輸送料の引き上げを実施すると明らかにした。トヨタが輸送ルートを手配し、異なる部品メーカーの荷物を混載する「引き取り物流」を手がける業者が対象で、まずは東海地区で実施する。働き方改革に伴う残業規制でドライバーや輸送力の不足が懸念される、物流の2024年問題に対応し、ドライバーの待遇向上を図る。
完成車物流については、すでに22年度下期から価格見直しを始めた。引き上げ率は各物流会社や配送ドライバーごとの残業状況などを聞き取りしながら、個別に決めていくという。
トヨタは20―30の物流会社と直接取引している。引き取り物流は19年から始めており、全国で1000カ所の集荷拠点のうち4割で実施している。東海地区での適用率も約4割で、できるだけ早期に全拠点への展開を進める。主要な生産拠点があり引き取り物流の体制が完了している東北・九州地区でも、状況を見ながら物流費の引き上げを検討する方針だ。
24年問題では年間の残業上限が960時間に規制されることから、輸送力の低下だけでなく残業代削減に伴うドライバーの年収減も懸念されている。トヨタは引き取り物流による積載率向上と、物流事業者や部品メーカーと共同で行う積み降ろし作業の生産性改善などで物流コストを削減。これを料金引き上げ分に充てることで、物流費の総額は増やさずドライバーの収入増につなげたい考え。
トヨタの担当者は「物流問題は日本の製造業にとって危機的だ。まずは我々の取引先を対象に先んじて取り組み、ドライバーの待遇改善とモノづくりの競争力につなげたい」と話す。
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