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トヨタ自動車グループの部品メーカーである東海理化が、ITサービスの開発・販売に注力している。長年車両の鍵を手掛けてきた知見を生かし、スマートフォンで車両を施錠・解錠する「デジタルキー」を開発。自動車部品を開発・販売する「モノ売り」だけでなく、デジタルキーを活用したサービスで稼ぐ「コト売り」の事業モデルの構築を模索する。
東海理化は車両の施錠・解錠や通信、セキュリティーなどの技術に強みを持つ。これらを生かし開発したのが、デジタルキーを使った社用車の管理システム「Bqey(ビーキー)」とレンタカー事業を無人運営するシステム「Uqey(ユーキー)」である。両システムとも、スマホに配信したデジタルキーで車両を施錠・解錠できるようにすることで、鍵の受け渡しの手間を省く。業務の効率化や省人化、クルマの稼働率向上につながるとする(図1)。
ビーキーは2022年4月にサービスを開始した注)。これまでに約100社への導入が進んでいる。ユーキーは2023年2月に沖縄県のレンタカー事業者に先行導入し、試験運用を始めた(図2)。事業者やスマホアプリの利用者からの意見を踏まえ、同年4月に正式なサービスの開始を目指している。まずは、需要が高いとみている沖縄県や北海道のような観光地を中心に拡販を進める。
注)サービス開始時の名称は「FREEKEY 社用車予約」だったが、2022年12月にサービス名を変更した。
東海理化は自動車メーカー系の大手のレンタカー事業者ではなく、中堅・中小の事業者を中心に導入を進める。こうした規模の事業者は経営資源が少なく、自社でシステムを構築するのが難しい場合が多いためである。市場規模も中堅・中小の事業者の方が大きい。レンタカーの市場全体で見ると、台数ベースで中堅・中小の事業者が約7割を占めるという。
インパネの簡素化でスイッチの売り上げが減少
同社がITサービスの事業に乗り出した理由は、大きく2つある。1つは、自動車部品事業で見込まれる売り上げの減少だ。スイッチ類などの「メカニカル製品」(同社)を中心に、2025年度には売上高が2022年度比で800億円減るとみている(図3)。同社執行役員の佐藤雅彦氏(事業企画本部長ニュービジネスセンター長)は「これまでの成長を支えてきた商品群の衰退で、新しい成長の柱が必要になる」と危機感を示す。
メカニカル製品の売り上げが減少する背景には、製品ニーズの変化と価格競争の激化がある。佐藤氏は「コックピットの“テスラ化”が進んでいる」と指摘する。米Tesla(テスラ)の電気自動車(EV)のように、中央に配置した大型のディスプレーに機能を集約し、インストルメントパネルを簡素に仕上げる車両が増えているという(図4)。東海理化が得意とするスイッチなどの機能もディスプレー内に取り込まれ、需要が減っていくとみている。
さらに、中国や東南アジアのメーカーがハードウエアの製品をベンチマークして、開発費をほとんどかけずに安く造ってきているという。市場価格は低下し、価格競争は厳しさを増すとみている。
からの記事と詳細 ( “テスラ化”に危機感、トヨタ系部品大手がサービス開発を急ぐ理由 - ITpro )
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