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Sunday, May 15, 2022

<かながわ未来人>「サッカーは人間を育てる」 子どもたちの自主性育む運営 伊勢原FCフォレスト代表・一場哲宏(いちば・てつひろ)さん(49) - 東京新聞

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 子どもたちが試合会場を設営し、開閉会式を準備して進行する。審判も、出場メンバーや作戦を決めて試合中に指示を出すのも、子どもたち。指導者や保護者は手も口も出さない。そんな小学生のサッカー大会を主催する伊勢原市のサッカークラブ「伊勢原FCフォレスト」の代表。「子どもってすごいなと、逆に大人が気付かされ、学ぶ大会」とにこやかに語る。

 大学時代、ドイツのケルンに留学し、四年間、サッカーの指導法を学んだ。現地のクラブでプレーし、子どものチームの監督を務めた。帰国後、湘南ベルマーレで普及活動に携わり、小学校などを巡回した。

 二〇一九年、フォレストを設立。「サッカーを通じて自分で考えて行動する力を育むこと」を理念とし、環境保全や地域活性化のために間伐材を活用した木造スタジアムの建設を目標に掲げた。同市と近隣市町の四歳〜中学生の約百二十人が集う。

 指導の根っこに留学当初の体験がある。ドイツ語が話せず黙ってプレーしていたら、パスが全然回ってこない。あるとき我慢し切れなくなり、日本語で「パスを寄こせ」と怒鳴った。「そうしたら分かってくれてチームの一員になれた。ただ立っていてもドアは開かない。ノックすれば開けてくれると実感した」

 ふだんの練習から、子どもの意志を大切にする。日替わりのキャプテンにメニューを選ばせる。失敗はとがめない。「信じて待てば何とかしようとする」。練習後、子どもたちは「いいとこメガネ」と称し、その日に見つけた仲間の良い所を発表し合う。サッカーに限らない。「ほどけた僕の靴ひもを結んでくれた」など、何でもありだ。

 フォレスト以外のチームも参加し、子どもたちが運営する大会では、ハーフタイムに両チームが集まり、相手の良かった点を挙げ、アドバイスも送る。「敵ではなく、サッカーをする仲間として」。審判を経験すると苦労や難しさを知り、審判への接し方が変わるという。他者の存在を認めることはコミュニケーション力にもつながると考える。

 「サッカーは人間を育てるのに適している」。一人ではできない、なかなか思い通りにいかない、全く同じ状況は現れない、次を予測して挑戦し、問題を解決しながらゴールを目指す。「生きていく上で必要なことがすべてある」と説く。

 「AIやロボットと一緒に働く時代、子どもたちにはより創造的に人生を切り開いていけるようになってほしい」(吉岡潤)

<木造スタジアム構想> 間伐材を使ったスタジアム建設は、巡回コーチ時代に聞いた話がきっかけという。森の樹木を成長させるには間伐が必要。水源の森が元気になると、川や海も豊かになる。森の保水力も高まり、災害や温暖化を防ぐ一助になる。伊勢原やドイツの自然豊かな光景が頭の中で重なり、サッカーと国内の間伐材の利用促進を結んで考えた。協力者の輪を広げながら、まず主催大会で渡す盾を間伐材にし、子どもたちが使うすね当てを竹で作った。「いつ実現するか分からないけど、循環型社会につなげたい」

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