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「ハードウエアだけを売ってほしい」。最近増えているのが、自動車部品メーカー(サプライヤー)に対する自動車メーカーからのこうした要求だ。フランスValeo(ヴァレオ)やドイツZF、同Bosch(ボッシュ)など大手サプライヤーも、そうしたケースが増えていることを認める。
背景にあるのは、電気自動車(EV)化の先に見据える、ソフトウエア定義車両(SDV)化や自動運転(AD)化の存在だ(図1)。SDV化やAD化では、クルマにおけるソフトウエアの重要性が増し、自動車メーカーはその主導権を握りたいと考えるようになるからだ。
そして、SDV化やAD化を進めるためには、ハードとソフトの分離が望まれる。両者を分離すれば、機能やサービスをハードに依存せずに作れるようになり、その開発や再利用を加速させられる上、車両販売後の更新、ユーザーや仕向け地ごとのカスタマイズ、車両全体の統合制御もしやすくなる。
もっとも、注意が必要なのは、EV化の進展が、その変化を前倒しさせている可能性があることだ。調査会社フォーイン取締役の周錦程氏によれば、中国では実際にそうした傾向が出始めていると明かす(図2)。
中国では、EV化に伴って部品の統合化が進んでいる。低コスト化や小型化など様々な利点があるからだ。その統合化と相まって顕在化してきているのが、部品購入形態の変化である。同氏によれば、冒頭に紹介したようにハードだけを購入したいという自動車メーカーが増えているという。
部品を統合すれば、統合した部品のメインコントローラーで、統合した配下の部品も統合的に制御したい。そのほうが、知能化(スマート化)を進められ、クルマの付加価値を上げられる。
そして、配下の部品のソフトについても中身が分かっていれば、統合制御の最適化を進めやすい。中身が分からなければ、部分最適化はできても、全体最適化は難しくなる。
その結果、これまでは部品のハードとソフトをセットで販売していた形態が、ハードのみの販売、もしくは非常にシンプルなソフトとのセット販売に置き換わる傾向があると同氏は語る。
「米Tesla(テスラ)がイスラエルMobileye(モービルアイ)のカメラを使わないのは、カメラとソフトがセット販売になっているため」と同氏は指摘する。認識のアルゴリズムが分からないと全体最適化が難しくなるからだ。その上で、「中国のEVメーカーは、ソフトと統合部品の全体構成やコンセプトについて、主導権を握りたいと思っている」と明かす。
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