【シリコンバレー=白石武志】米アップルが米国や日本で音楽・動画配信などの各種サブスクリプション(継続課金)型サービスを一斉値上げしたことが24日、明らかになった。動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」については日本での月額料金を従来の1.5倍の900円に引き上げた。
米メディアによると、いずれのサービスも米国で値上げしたのは提供開始以来初めて。アップルは音楽配信についてはアーティストらに払うライセンス費用の上昇などを理由としている。動画配信においてもコンテンツの拡充に伴う費用増を月額料金などに反映することで収支を改善する狙いだ。
例えば2015年に始めた音楽配信サービス「アップルミュージック」についてはこれまで9ドル99セント(約1490円)だった個人向けプランの月額料金を24日から10ドル99セントに10%上げた。競合するスポティファイ・テクノロジー(スウェーデン)の類似サービス(月額9ドル99セント)よりも高くなる。
アップルの日本向けのウェブサイトによると、これまで980円に設定していた日本におけるアップルミュージックの個人向けプランの月額料金は日本時間25日までに1080円に改めた。学生向けプランの月額料金は580円で据え置いている。
アップルが19年に始めた動画配信サービスのアップルTV+については米国での月額料金を4ドル99セントから6ドル99セントに40%上げた。日本での月額料金は従来の600円から900円に50%引き上げた。
音楽・動画配信などの各種サービスをまとめたサブスク型サービス「アップルワン」については、個人向けプランの月額料金を米国で2ドル上げて16ドル95セントとした。日本での同サービスの個人向けプランの月額料金は100円上げて1200円とした。
一連の値上げは音楽・動画配信などのサービス分野の成長に力を入れるアップルにとって競争力の低下を招く可能性がある。ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場するスポティファイの株価は24日、アップルの値上げの報道を受けて前週末比7%高で取引を終えた。
新型コロナウイルスの感染拡大の一服とともに、米国のサブスク型サービスの市場は成長が鈍化しつつある。米ネットフリックスや米ウォルト・ディズニーは広告を付ける代わりに料金を低く抑えるプランの導入計画を示し、会員のつなぎとめに努めている。
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