11月に開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)カタール大会に向け、日本代表が6月の国際Aマッチ4連戦を2勝2敗で終えた。招集した28人から新たな組み合わせを試した「発見」もあった一方、攻撃は個人の判断に委ねて手詰まりとなる場面も露呈。課題が浮き彫りになった。(唐沢裕亮、深世古峻一)
◆「誰と組んでも機能」新たな発見も
「誰と組んでも機能させる意味では、良いトライができた」。森保監督は6月の活動をそう評する。基本布陣4—3—3の中盤の前寄り、左右で並ぶ「インサイドハーフ」は好結果の一つのようだ。
「良い守備」から試合をつくる日本は遠藤航(シュツットガルト)を中盤の底に、アジア最終予選は守田(サンタクララ)と田中(デュッセルドルフ)でつくる逆三角形が盤石だった。守備力が高く、パスもつなげるこの顔触れは今後も第1選択だが、6月は守田が左ふくらはぎ痛で起用を見送られた。
4連戦初戦のパラグアイ戦。ドリブルで縦に推進する力に富む原口(ウニオン・ベルリン)と、ボールキープもできる鎌田(アイントラハト・フランクフルト)を起用。相手がスペースを与えてくれたこともあり、原口はスルーパスで先制点を演出。「僕らが出て攻撃力が上がらなかったら意味がない」と鎌田はクロスに飛び込み頭で得点した。
「1人代われば流れが変わる。3人代わればチームが変わる」と指揮官。4連戦最後のチュニジア戦もこのユニット(組み合わせ)を起用した。ドイツ、コスタリカ、スペインとあたるW杯は中3日の連戦で、堅守とはいえコスタリカからは勝ち点3が不可欠。相手に合わせ、メリハリをつけて戦うことになりそうだ。
◆攻撃面に課題、9月の親善試合までに精度高めて
ブラジルとチュニジアには、これまで日本が見せてきた攻撃の形が結果に結び付かずに敗れ、ブラジル戦は枠内シュートがゼロ。アジア最終予選は左サイドからドリブルで打開してきた切り札の三笘(サンジロワーズ)もブラジルは崩せず。世界屈指のDF、ミリタン(レアル・マドリード)を突破できなかった。
チュニジア戦は伊東(ゲンク)が右から、途中出場した三笘が左から起点になった。だが、「チームとしての組み立てをやっていかないと、自分が行くだけになって(ボールを失って)カウンターを受けて、というのは本大会ではやってはいけない」と三笘。「チームとしてどう攻めていくのか。決まり事ではないが、いろんなものを持たないといけない」。森保監督は個の力がある選手がいるから周囲が生きると考えるが、「戦術三笘」「戦術伊東」頼みでは、選手間に迷いが生じかねない。
ボール保持率はチュニジア戦が62.4%で、ブラジル戦は耐えながらも47.8%。苦し紛れのロングボールに頼らず「ビルドアップ(後方からの組み立て)は絶対に必要。ボールを持てる時間を長くしないと、守るだけでは勝てない」と主将の吉田(サンプドリア)。その分、失点は組み立てのミスを突かれた形が多く、精度は課題。欧州組が参加できる9月の国際親善試合2戦でどう克服できるか。
6月4連戦 W杯カタール大会に出場するブラジル、ガーナ、チュニジアと、南米予選敗退のパラグアイの計4チームとの対戦で日本は2勝2敗。パラグアイ戦(2日)は4—1の快勝も、ブラジル戦(6日)はスコア以上の実力差で0—1の敗戦。トーナメント形式で行われたキリンカップのガーナ戦(10日)は4—1で勝利。決勝のチュニジア戦(14日)は0—3で完敗。
◆登録枠23→26人に拡大、〝一芸〟選手にチャンス?
W杯の登録メンバーの上限が従来の23人から26人になることが23日に正式決定し、アピール不足だった選手にも可能性が出てきた。森保監督は「スペシャルな特長を持った選手をプラスできる」と〝一芸〟に秀でた選手を加える構想を明かす。
けがでチュニジア戦前に離脱した上田(鹿島)は最前線で先発して80分プレーしたガーナ戦のみの出場だったが、強烈なシュートと動き出しはFW陣でも異色。浅野(ボーフム)らスピードタイプが多いだけに追い風になりそう。
一気に定着した選手もいる。左サイドバックで3試合に先発した初招集の伊藤(シュツットガルト)は、停滞気味だった左からの攻撃を活性化。ロングキックは精度が高く、効果的な攻め上がりで好機を演出した。右も務めた長友(FC東京)や中山(ズウォレ)をしのぐ存在となるか。
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