【スポーツ最前線 激アツ見聞録】日本サッカー協会の新たな取り組みとして、今年1月から日本代表の全世代をカバーするセットプレー専任コーチが採用されることになった。前J2栃木ヘッドコーチの菅原大介氏が務めている。まだ得点は生まれていないが、アジア最終予選の中国戦などではデザインされたCKやFKが見られた。
日本代表FW南野拓実が所属するリバプールや同DF冨安健洋が所属するアーセナルでは、スローイン専門コーチもいるという。G大阪は21年からストライカー専門コーチとしてOBの元日本代表FW大黒将志氏を招聘(しょうへい)したが、世界のサッカーはもっと先をいっている。
ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が本格導入されて、オフサイドやファウルは厳密化された。選手はスプリント回数や速度、走行距離が瞬時に計測される。今までは試合後にじっくり分析されていたものが、試合中に分析されて対策を取られるようになった。充実したインターネット環境のおかげで、様々な面で細かくなってきていることを実感する。
先日、おもしろい話を聞いた。京都は広島戦(5月21日)、横浜戦(同25日)で連敗。敵地であったどちらの試合も攻守で京都はなす術がなかった。しかもスローインのリスタートも速い。ひと昔前は劣勢の時は一度タッチラインにボールを蹴り出してリセットするよう言われていた。しかし、現代は数人のボールボーイがライン際にスタンバイしており、ボールがタッチラインを割ると、新しいボールが渡される仕組み。その渡す速さが見事だった。広島も横浜もボールがラインを出たなと思った瞬間には、次のプレーが始まっていた。京都は息つく暇がなかった。
ボールボーイは地元の中高生が担当するのが主流だ。地元のサッカー少年たちが持ち回りするクラブもあるが、広島は特定の地元高校に託しているという。横浜にいたっては、試合前に指導者がホワイトボードを使いながらボールボーイの子たちに最適なタイミングなどを熱く語っていたようだ。なるほど、彼らは訓練されたホームチームの“一員”だったのだ。あうんの呼吸が構築されているからこそ、速いリスタートが可能だった。
細分化された時代。こうしたチーム外のサポートも今後のサッカーには重要になってくるだろう。怒りにまかせてモノを投げ入れたり、選手に詰め寄って罵声を浴びせても、チームの勝利は近づかない。(サッカー担当・飯間 健)
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