米中関係が急速に悪化し、両国経済の分断(デカップリング)の可能性が高まる中、中国当局は自動車メーカーに中古自動車部品の再利用を奨励する政策を導入した。この動きについて、一部の学者は「米中経済分断のための準備ではないか」とみている。
中国国家発展改革委員会( NDRC)は8月11日、「自動車部品再製造管理のための暫定措置(意見募集案)」を公表し、国民の意見を求めた。同措置は、中国の自動車メーカーに、アフターサービスシステムを通じて、要件を満たす中古自動車部品を回収し、それを専門の中古部品再製造企業に提供することを奨励している。
同措置によると、「再製造」とは、国家再製造基準に基き、機能的損傷または技術的陳腐化のために使用されなくなった中古自動車部品を専門的に修理またはアップグレードする。品質がプロトタイプの新製品に劣らないようにするという。
現在の米中間の緊張が高まっている中、双方とも相手国領事館を閉鎖し、それぞれ11人の政府高官を制裁した。さらに米国は、中国の通信・技術企業の製品や技術を米国のネットワークから排除するなど、「ネットワークの浄化」に乗り出している。
貴州大学経済学部の楊紹政元教授はラジオ・フリー・アジアの取材に対し、「中国政府が中古車部品の再利用を許可したのは、おそらく中国の経済が世界から切り離される可能性があるとNDRCが予測したため、自動車製造業の危機を緩和する必要があると考えたのだろう」と語った。
「中国現在の全ての自動車メーカーの主要機器の一部を海外からの輸入に頼っているのが現状だ。もし中国経済が実際に世界から切り離されれば、部品調達が困難になり、以前に大量の車に使用されている『自国では生産できない』中古部品を再利用するしかない」と同教授は述べた。
山東大学の経済学者司令氏は同紙取材に対し、「NDRCが導入する新たな規制は、中国当局が米中関係の全面的な分断の余波に備えていると示している」「しかし多くの分野での原材料不足は避けられない。中国はリサイクルにもっと力を注ぐ必要がある。そして習近平は『食糧の浪費を控えるように』と強調したばかりだ。中国は現在、危機を感じている」と述べた。
中国当局は多方面から米中分離に備えている
習近平は8月11日、「中国の食糧生産は豊作が何年も続いているが、 食糧安全保障については一貫して危機意識を持たなければならない」とし、食品を浪費しないよう呼びかけた。中国当局が「 食糧安全保障」を強調したのは、これで少なくとも第3回目になる。
資料によると、中国は食料の30%以上を輸入に頼っており、アメリカが主な輸入国となっている。
米中関係が悪化している今、米国から食料を輸入できなければ食糧危機につながりかねない。政治情勢を不安定化させる可能性があると判断し、当局は繰り返し『食糧の安全保障』を強調しているとみられる。
中国当局はすでに米中経済の分断に向けての準備を進めている。
例えば、当局は最近、経済の「内循環」を強調している。内循環とは国内を主体とする産業の循環のことで、つまり鎖国経済の意味だ。また、四面楚歌の状態にあるファーウェイは、米国の制裁を回避するために自給自足を表明し、「南泥湾プロジェクト」を発足した。
南泥湾は陝西省延安市南部にあり、日中戦争中の根拠地でもあった。1941‐42年、根拠地は日本軍の攻撃と国民党の封鎖を受けて厳しい経済的困難に直面した。これを打ち破るため,43年から軍民大生産運動を展開した。南泥湾は中国共産党にとって「自力更生」の代名詞となっている。
トランプ米大統領とスティーブン・ムニューシン(Steven Mnuchin)米財務長官はこのほど相次ぎ、「米中が経済的にデカップリングする可能性がある」と発言している。
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August 14, 2020 at 09:42AM
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