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Wednesday, July 31, 2019

基礎収支、黒字化27年度に 甘い試算で財政改革遅れ - 日本経済新聞

基礎収支、黒字化27年度に 甘い試算で財政改革遅れ - 日本経済新聞

内閣府は31日、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化が2027年度になるとの見通しをまとめた。経済の成長が想定より鈍いため、26年度と見込んだ1月の前回試算から1年ずれ、政府目標の25年度からは2年遅れる。年2回の試算は高めに見積もる成長見通しの未達が続く。成長への甘すぎる見立てが歳出改革を滞らせれば、財政再建は一段と遠のく。

31日の経済財政諮問会議で28年度までの財政見通しを報告した。試算は「成長実現」と「ベースライン」の2種類ある。27年度のPB黒字化は、日本経済が20年代前半には実質で2%、名目で3%以上の成長率となる「成長実現」のケースでのものだ。

政府は29日、20年度の名目成長率を2.0%とする政府経済見通しを公表している。これらを踏まえた新たな試算でも、PBは25年度に2.3兆円の赤字が残る。目標とする黒字を達成するには、25年度に2.3兆円の歳出削減か増税が必要となる。

1月時点の試算では、PB黒字化が以前の見通しから1年早まり26年度になるとみていた。再び27年度に遅れるのは、19年度の名目成長率見込みが1.7%と、従来の2.4%から下振れしたためだ。将来の名目国内総生産(GDP)も減り、それに見合う形で税収が伸び悩む。

ただ、厳しいように見える今回の試算も、前提は極めて甘い。イノベーションの進展などを反映する「全要素生産性」の伸びは現在、年0.3%程度だが、これが24年度に1.2%まで高まると想定している。5年間で0.9ポイントもの上昇はバブル崩壊前の1980年代半ばのペースだ。

現実に近いとされるベースラインケースは全要素生産性が年0.8%程度の伸びで推移すると見る。アベノミクス前の12年度(1.0%)に近いが、足元では下がってきており、生産性がすぐに大きく上がると見るのは難しいはずだ。

ベースラインケースでは試算した28年度までPBは赤字が続く。黒字化の見通しは立たない。

PBの黒字化は、その年の政策経費を税収と税外収入でまかない、借金に頼らないことを示す。GDPの2倍に迫る公債の利払いを考えると、PBの黒字化は財政再建の一里塚とされる。

財政再建の遅れは国債の信用に響くリスクがある。それでも日本で金利が上昇しない要因の一つは、日銀が大規模な金融緩和で金利を抑え込んでいることだ。国は利払いを抑えられ、毎年の予算案での公債依存度も下がってきた。

一方で超低金利では不採算の事業が存続しやすく、生産性の向上につながる産業の新陳代謝を遅らせている面もある。金融緩和で財政の痛みを和らげるうちに成長の機会を逃し、それが財政再建を遅らせる構図だ。

試算のたびに続く甘い見通しは歳出抑制を鈍らせる。年末につくる当初予算の伸びは抑えても、補正予算による積み増しは当たり前になった。18年度にはPB黒字化の目標を従来の20年度から25年度に先送りした経緯もある。

今回の財政見通しはいずれも20年度以降の歳出改革は織り込んでいない。まずは20年度の予算編成で膨張する社会保障費の抑制に切り込めるかどうか。財政再建が掛け声倒れに終わるなら、将来世代がつけを払うことになりかねない。

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2019-07-31 09:09:00Z
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48019020R30C19A7EE8000/

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