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イノベーションはどこからやってくるのだろうか。自動車業界では長年、欧州や米国のメーカーが新技術の採用で先陣を切ってきた。その技術がこなれたころに日本メーカーが追従し、枯れた段階で中国メーカーが使うのが通例だった。
「今は圧倒的に中国から」。ある欧州部品メーカーの幹部がこう語るように、新技術採用の順番ががらりと変わった。同幹部は日経Automotiveの取材に対し、「新開発した部品の供給リストを見ると、中国メーカーが採用第1号になるものが一気に増えてきた」と明かす。
中国勢は3交代で“爆速”開発
中国の自動車メーカーは新技術の採用に貪欲だ。新型車は2~3年で全面改良を繰り返す。自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)最高技術責任者(CTO)のJoachim Fetzer(ヨアヒム・フェッツァー)氏は、「中国メーカーは様々な新機能をまず試してみて、うまくいくものは残すというやり方をしている。消費者からの反応が悪いなと思えば、すぐに方向転換する」と分析する。
中国の自動車事情に詳しいアナリストによると、「中国・比亜迪(BYD)を筆頭とする有力メーカーは、3交代の研究開発体制を敷いている」という。24時間、切れ目なく開発を続けることで“爆速”を実現しているようだ。
こうした中国自動車メーカーのスピードに対応できなければ、部品メーカーは中国市場で勝負できない。競争の激しい市場だが、年間約3000万台という規模の魅力は大きい。ひとたび部品採用が決まれば、まとまった生産量を確保できる。
信頼性を積み上げる、という観点でも中国市場で戦う意義がある。「中国メーカー向けに4年間量産してきた実績が武器になっている」。こう語るのは、スイスTE Connectivity(TEコネクティビティー)の日本法人タイコエレクトロニクスジャパンで社長 職務執行者を務める鶴山修司氏だ。
TE Connectivityが4年前から中国で量産するのは、電気自動車(EV)の800Vシステム向けコネクターである。中国勢が積極採用し、日本の自動車メーカーは追従する状況だ。鶴山氏は「市場実績がある部品なので、日本メーカーにも安心して使ってもらえる」と話す。
中国で土台を育み、世界へ広げていく――。部品メーカーが採用拡大の流れに乗るには、まずは中国自動車メーカーによる“爆速”開発と向き合う必要がある。
採用を獲得した部品メーカーや中国の動向を知る関係者などに取材を進めると、中国メーカーが部品に求める必須条件として(1)こだわれる「余白」より完成品、(2)割り切りで実現する中国品質、の2つが浮かび上がってきた。
からの記事と詳細 ( 中国車“爆速”開発に食らいつくBosch・ジヤトコ、部品採用に必須な2大条件 - ITpro )
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