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Sunday, February 18, 2024

開発10年の「H3」、3Dプリンターで部品製造・電子部品の9割は自動車用…低価格化で海外勢に対抗 - 読売新聞オンライン

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 日本の新たな大型主力ロケット「H3」が17日、開発開始から約10年を経て、打ち上げに成功した。昨年3月の1号機失敗で信頼性が揺らいだが、2号機の成功で、世界の衛星打ち上げ需要の獲得に向けて、スタートラインに立った。(科学部 中根圭一、山波愛)

 新規開発した大型主力ロケットの初めての打ち上げ成功は、現行の「H2A」の2001年以来、23年ぶり。同日、記者会見した宇宙航空研究開発機構( JAXAジャクサ )の岡田 匡史まさし プロジェクトマネージャは「衛星の軌道への投入精度はほぼ狙い通りだった」と誇った。

 ただ、道のりは険しかった。推力をH2Aの1・4倍にした第1段ロケットの主エンジン「LE―9」の開発に難航し、1号機の打ち上げ予定は2度延期。昨年3月の打ち上げでは第2段エンジンが着火せず、失敗した。JAXAは約7か月かけて原因を究明し、絶縁強化などの対策を進め、打ち上げを初めて成功させた。

 ロケット打ち上げや衛星利用など、世界の宇宙関連市場は40年に1兆ドル(約150兆円)を超えると予測される。日本は24年度に退役するH2Aから新型のH3に世代交代させ、市場の開拓を図りたい考えだ。

 H2Aの過去48回の打ち上げ成功率は97・9%と高い信頼性が売りだった。だが、1回約100億円の打ち上げ価格が課題で、商業打ち上げは5回にとどまる。

 一方、業界トップの米宇宙企業スペースXは、機体の一部を再利用できるロケットを開発。JAXAの資料によると、同社のロケット「ファルコン9」の価格は4900万ドル(約74億円)と優れた価格競争力をもつ。

 海外勢に対抗するべく、H3は電子部品の9割に自動車用のものを採用したほか、部品の一部を3Dプリンターで造るなどしてコストを削減し、50億円の価格を目指す。また、顧客の望む日時に打ち上げる能力など、総合的な競争力を高めていく方針だ。

 JAXA元主任開発員の 神武こうたけ 直彦・慶応大教授は「H3が価格面で海外勢と肩を並べる存在になり、市場を分け合う可能性は十分にある」と期待する。

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