自動車部品大手、デンソーの株価が2023年6月6日の東京株式市場で一時、前日終値比32円(0.4%)高の9146円まで上昇し、2022年1月につけた上場来高値(1万185円)以来となる1年5か月ぶりの高値となった。
足元で連日、日経平均株価がバブル後最高値を更新し、日本株全体として上昇気流に乗るなか、その後もさらに上値を追っている。新たな好材料が出たわけではないが、デンソーが強みを持つ電気自動車(EV)向け部品の拡販への期待が投資家に広がっている。
24年3月期連結決算の業績予想は、最終利益21.7%増の3830億円 市場では「保守的」との声も
それでは2024年3月期連結決算(国際会計基準)の業績予想を確認しておこう。売上高にあたる売上収益は前期比1.6%減の6兆3000億円、営業利益が19.7%増の5100億円、最終利益が21.7%増の3830億円。最終利益は6年ぶりに最高益を更新する見込みだ。
売上収益は「車両減産リスクを織り込んだ」(デンソー)としているが、半導体不足の解消が見込まれるなか、グループのトヨタ自動車をはじめ世界のメーカーの自動車生産が前期より回復するのは確実とみられるだけに、市場では「保守的」との声が多い。
1ドル=125円と想定する為替レートも、実際はより円安になる可能性が高い。保守的な売上収益見込みでも、「固定費の抑制」(デンソー)などに取り組むことで増益を計画する。このため、売上収益、利益ともに上振れ余地があるというのが市場の大方の見方だ。
高精度なバッテリー監視製品は「付加価値大きい」 証券会社リポート「自社株買い期待も材料」
デンソーは今後大きく成長するEV向けの部品に強みを持つ。
たとえば、電池の電力をモーターの回転に変えるインバーターは、世界シェア3~4割を占めるとされる最大手。電力の損失をより少なくし、EVの航続距離延伸につなげる技術への期待も高い。
そのうえ、グループのトヨタ自動車以外にも販路を持つことも、市場から有望視される点だ。
2023年5月31日配信のリポートで、目標株価を9000円から1万800円に引き上げた野村証券は「当社(デンソー)の持つ高精度なバッテリー監視による『バッテリー寿命長期化やバッテリー容量最適化(技術)』はEVの競争力の肝の一つである」と指摘し、「当社製品の付加価値は大きい」と評価した。
6月2日配信のリポートで目標株価を7900円から9200円に引き上げた大和証券は「挽回生産などのほか自社株買い期待も材料」と指摘した。
デンソーの株価は当面、上昇基調が続く可能性がありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)
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