半導体・電子部品商社が手がける、メーカーなどの余剰在庫の削減に貢献する「委託販売」に注目が集まっている。コロナ禍による供給網の混乱を踏まえ、安定供給のために部材を先行手配し、在庫を積み上げてきたメーカーは多い。足元ではいまだに不足する半導体がある一方、メモリーなど需要が減っている部材もある。商社は独自の販売網などを生かした付加価値の高いサービスを提供し、顧客の要望に応えられるかが問われる。(阿部未沙子)
コアスタッフ(東京都豊島区)は委託販売で多くの企業から引き合いがあるという。同社の委託販売は、企業の余剰在庫をコアスタッフの物流倉庫に移動し、半導体や電子部品を扱う電子商取引(EC)サイト「コアスタッフオンライン」を通じて販売する仕組みだ。
委託販売の需要は「2022年の夏過ぎから急に増えてきた」(戸沢正紀社長)。自動車用の部品、半導体製造装置、ロボット、医療機器など、対象とする業界は幅広い。「中国や東南アジアなど海外からの引き合いも多い」(同)。
コアスタッフはこうした需要に対応する狙いもあり、長野県佐久市に新物流センターを建設する。24年7月に竣工予定。稼働後は、現状比約10倍の100万点程度まで自社の保有在庫を増やす計画だ。物流を受託した製品のうち、一定期間販売がないものは、委託販売に切り替える。このような余剰在庫削減の機能を付加価値として顧客に訴求する狙いがある。
「電機関連の大手メーカーから、不要になった在庫の販売ができないか、問い合わせがあった」。レスターホールディングス(HD)の今野剛実事業開発室長は、自社が手がけるビジネスマッチングサービス「レスターマッチングサービス」についてこう話す。
同サービスでは、企業が買いたい「ニーズ」と売りたい「シーズ」を登録。3000社以上の登録があるデータベースからレスターHDが企業を紹介する。商談成立後の口座開設や契約締結、受発注業務などを含めて支援する。
在庫削減の要望にも応じる観点で、他社と連携した販売体制を整備している。例えばレスターHDが顧客から不要な在庫の一覧をもらい、一覧に基づき他社に販売するといった仕組みを構築中だという。2月から本格的に始める見込み。「(問い合わせのあった企業以外にも)余剰在庫を抱えている企業がいくつかあるかもしれない」(今野室長)とし、顧客の多様な課題の解決を支援する構えだ。
今後は、検索機能の改善など利便性を高める計画。1月20日時点でサービス登録企業数は約70社で、エレクトロニクス系の企業のほか人材領域、エンターテインメント、旅行会社など幅広い。
余剰在庫の削減は多くの業界に共通する課題であり、解決策の需要は高まるとみられる。売り手と買い手をつなぐ事業者には、双方が使いやすい仕組みの構築が求められる。
【関連記事】 好調電子部品の受注は失速するのか?
からの記事と詳細 ( 余剰在庫削減“お助け”、半導体・電子部品商社「委託販売」引き合い増加中|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 - ニュースイッチ Newswitch )
https://ift.tt/PGmBYsH
No comments:
Post a Comment