日本銀行は来年の春闘や米国を中心に減速感が強まる海外の経済・物価動向を見極めた上で、来年4月に発足する新体制下で金融政策の点検や検証を同年中にも実施する可能性がある。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。
この報道後、円はドルに対して急伸。一時0.8%高の1ドル=134円54銭まで上昇した。
関係者によると、黒田東彦総裁が来年4月8日に任期を終えるまでに金融政策の点検や検証が行われる可能性は低いとしている。日銀では来年の春闘は足元の物価上昇が賃上げにつながっていくかどうかの試金石と位置付けており、その内容を見極めるまで点検や検証という話にはなりづらいという。
例年、春闘の第1回回答の集計結果は3月中旬に公表されている。黒田総裁にとって最後の参加となる3月9、10日の金融政策決定会合よりも後になる。
世界的なインフレ高進という大きな環境の変化が起きている中で、日本に先行して高まったインフレに対応した積極的な利上げが続く欧米を中心とした海外経済の動向も点検・検証の議論を左右しそうだ。賃上げと米経済の動向が見えてくれば、物価目標の在り方を含めた中長期的な政策議論の機運が高まる可能性がある。
関係者によると、現段階で点検・検証の是非や内容について日銀内でコンセンサスはない。そもそも金融政策の変更は点検や検証を前提としておらず、日銀内では毎回の会合や過去の点検・検証で課題は出尽くしているとの声もある。点検・検証が金融政策の正常化につながるのか、現行緩和の継続や強化が前提になるのか、不確実性が大きい現状ではあらゆる可能性を排除できないという。
田村直樹審議委員は11月30日のブルームバーグとのインタビューで、「今後の物価や賃金、経済の動向を踏まえ、しかるべきタイミングで金融政策の枠組みや物価目標の在り方を含めて点検・検証を行うことが適当ではないか」と発言。黒田総裁は今月6日の国会答弁で「金融政策の枠組みについて具体的に論じるのは時期尚早ではないか」と述べた。
ブルームバーグがエコノミスト47人を対象に7-12日に実施した調査によると、日銀は大規模な金融緩和政策と2%の物価安定目標の在り方について点検・検証を行うべきだと84%が回答した。タイミングは、黒田東彦総裁の下で来年3月までに行うとの見方が6%、4月以降が79%となった。19、20日の会合では全員が金融緩和政策の現状維持を見込んでいる。
(円相場の動きを第2段落に加えます)
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