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「日欧のメガサプライヤーのライバルになり得る存在」――。こうした評価を耳にすることが増えたのが、中国・華為技術(ファーウェイ)である。同社が車載部品事業を本格化したのは2012年のこと。通信機器大手がいつの間にか、自動車業界のダークホースとして急浮上してきた。
「中国2社に加えて、欧州自動車メーカーの採用が決まっている」。口を開いたのは、ファーウェイの自動車部品事業担当者である。詳細は明かさないが、採用されたのは自動運転/先進運転支援システム(ADAS)関連の部品だ。
同氏はこう続ける。「2021年は日系自動車メーカーから2つのプロジェクトを受注した」。こちらは自動運転とは別の部品とみられる。ファーウェイは日本での受注活動を2020年後半に本格化。「2023年には大きな話が動きそうだ」(同氏)と自信をのぞかせる。
中国の自動車業界に詳しいアナリストは、「ファーウェイは自動車メーカーにはならないと宣言しているが、実力を考えるとクルマをいつ生産してもおかしくない」と分析する。実際に完成車を市場投入するかは不透明だが、「完成車のシステムまで手掛ける『ティア0.5』を目指して付加価値の高い部品を拡充してきた」(先述のファーウェイ関係者)という。
半導体からシステムまで
同社はわずか10年で、(1)車載通信機、(2)クラウドサービス、(3)電動パワートレーン、(4)コックピット、(5)自動運転/ADASという5つの領域の部品やシステムを用意してみせた。
まず取り組んだのが、車載通信機や車内ネットワーク機器である。通信技術の応用先として、コネクテッドカーに目を付けた。車載通信機向けの半導体を皮切りに、テレマティクス制御ユニット(TCU)やゲートウエイなどを開発した。そこから派生し、データを収集・管理するクラウドサービスの展開を進めた。電気自動車(EV)の電池の状態把握や自動運転向けの高精度地図などを用意する。
電動パワートレーンの源流も、ファーウェイの既存事業である。もともとデータセンター向けの電源設備などを手掛けており、大電流を扱うのは得意だった。その技術を生かし、EVのDC-DCコンバーターやインバーターなどを設計した。インバーターは、モーターや減速機などと一体化した電動アクスル(eアクスル)の形にも仕上げた。熱マネジメントシステムも用意する。
コックピットも、民生機器の知見を広く使う。表示デバイスや制御用半導体に加えて、独自OS(基本ソフト)「HarmonyOS(ハーモニーOS)」を持つ。ファーウェイはハーモニーOSをスマートフォンや家電などに搭載してきたが、クルマの統合コックピットにまで適用範囲を広げた。
自動運転/ADAS関連では、処理能力の高いECU(電子制御ユニット)を実用化済みだ。内蔵する車載SoC(System on Chip)まで内製する。LiDAR(レーザーレーダー)やカメラなどのセンサー類も用意。ミリ波レーダーは2022年下半期に量産を開始した。
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