26日の米株式相場は続落。世界的な中央銀行のタカ派姿勢が引き続きセンチメントの重しとなる中、英国の為替・債券相場の乱高下で荒い動きが増幅された。ドルは上昇。東京時間からのドル買い・円売りが続き、対円では144円台後半。
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S&P500種株価指数は前週末比1%安の3655.04と、終値で2020年12月以来の安値となった。ダウ工業株30種平均は329.60ドル(1.1%)安の29260.81ドル。ナスダック総合指数は0.6%低下。CBOEのボラティリティー指数(VIX)は6月以来初めて30を上回って終了した。
この日はポンドが最安値を更新する中、英金融市場の動向が注目された。イングランド銀行(英中央銀行)は市場を落ち着かせようと、「必要なだけの」金利変更をちゅうちょしないとの緊急声明を発表したが、市場の期待には及ばなかった。同中銀は11月の次回会合前には行動しない可能性を示唆した。
英中銀、必要なだけの金利変更をちゅうちょしない-緊急声明 (1)
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ボストン連銀総裁、さらなる政策引き締めが必要-失業増は不可避
FBBキャピタル・パートナーズの調査担当ディレクター、マイク・ベイリー氏は「パウエルFRB議長に加え、ベイリー英中銀総裁も景気を減速させようとしている」と指摘。「しかし、雇用主は次のリセッション(景気後退)から回復した際に取り残される状況を回避しようと、できる限り多くの労働者を保持しているというのが私の感触だ。利上げをする中銀と労働者を手放さない雇用主との、まるで軍拡競争だ」と述べた。
B.ライリーのチーフ・マーケット・ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、投資家は物価が落ち着きつつある手掛かりを求め、経済指標も注視しているとリポートで指摘。「市場にとって現在の難局を抜け出すために必要なのは、インフレのデータが顕著に減速し始めることだ」とし、「米金融当局がインフレ指標の目安としているコアPCE価格指数の4-6月(第2四半期)の数字が29日に公表される。これに加えて、投資家は仕入れ価格指数が鈍化している兆候を得ようと、一連の経済指標に注目するだろう」と述べた。
米国債は下落。2年債入札での需要が低調だったことで売りが強まり、10年債利回りは2010年4月以来の高水準を付けた。ニューヨーク時間午後4時23分現在、同利回りは23ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.92%。
グレンミード・インベストメント・マネジメントのプライベートウェルス最高投資責任者(CIO)、ジェーソン・プライド氏は「米金融当局は姿勢を強めなくてはならない状況にあり、市場はそれに反応している」と分析。「一歩引いて、全体像に目を向けると、米当局はより高い金利を本気で望んでいる」と話した。
外国為替市場ではドルが主要10通貨に対してほぼ全面高。ドル指数は5営業日続伸した。ウクライナでの戦争や台湾を巡る緊張、イランの情勢不安など地政学リスクが警戒された。ポンドは最安値を更新後、下げ幅を縮小。英緊急利上げの可能性、およびその規模がポンド押し上げに十分かどうかが意識された。
米国債利回りの上昇を背景に、ドル・円相場は一時1%高の144円79銭に上昇。日本が先週、円買い介入を実施する前の水準に近づいた。
クレディ・アグリコルのストラテジスト、デービッド・フォレスター氏は、日銀は超緩和的な金融政策スタンスを変更することはないとの考えを明確に示していると指摘。「ドル・円相場は日本の財務省の決意を試し、今後数カ月に147円に達すると当社ではみている。財務省も日銀もファンダメンタルズとは戦えない」と述べた。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は1%上昇。ニューヨーク時間午後4時24分現在、ドルは対円で0.9%高の1ドル=144円64銭。ユーロは対ドルで0.8%安い1ユーロ=0.9608ドル。ポンドは対ドルで1.7%下げて1ポンド=1.0679ドル。アジア時間に一時1.0350ドルと、1971年までさかのぼるブルームバーグデータでの最安値を記録した。
ニューヨーク原油先物は大幅続落。金融市場全般の方向性に左右された。世界的な金利上昇による影響を警戒し、投資家のセンチメントは悪化した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、前営業日比2.03ドル(2.6%)安の1バレル=76.71ドルで終了。一時は2%上昇する場面もあった。ロンドンICEの北海ブレント11月限は2.09ドル下げて84.06ドルと、85ドルを再び割り込んだ。過去最高値付近にあるドルが、ドル建てで取引される商品の魅力を落としている。
「原油価格は為替ボラティリティーというローラーコースターをまだ降りられない」とオアンダのシニアマーケットアナリスト、エド・モヤ氏は話す。「通貨の歴史的変動は世界経済の見通しをやっかいなものにしており、ひいては原油需要の見通しを圧迫する。一方でドイツの企業景況感が予想より悪く、弱い米地区連銀見通しが複数あったにもかかわらず、原油はオーバーナイトの安値を割り込むには至っていない」と述べた。
ニューヨーク金相場は続落。世界的な金融引き締めがリセッション(景気後退)につながるとの懸念は根強く、ドルが過去最高値に上昇したことが影響した。
オアンダのモヤ氏は金相場の「ローラーコースター」も続くとみている。世界的な国債利回り上昇で、金の苦境は続く見通しだからだ。
ウェイン・ゴードン氏らUBSグローバル・ウェルス・マネジメントのストラテジストは、金は少なくとも2023年上期までに1オンス=1500ドル台前半に下げていくと予想している。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は、前営業日比22.20ドル(1.3%)安い1オンス=1633.40ドル終了した。ニューヨーク時間午後2時37分現在のスポット価格は1622.68ドル。2020年4月以来の安値を付けた。
原題: Stocks, Commodities Drop; US Treasury Yields Surge: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Extend Losses, Driving Yields to New Multi-Year Highs(抜粋)
Dollar Gains on Global Risks, Pound Pares From Low: Inside G-10(抜粋)
Yen Seen Weakening to 147 Even as Authorities Fight Back: CA(抜粋)
Oil Settles Near January Lows After Swinging With Broader Market(抜粋)
Industrial Metals, Gold Slide Over Dollar Rally, Recession Fears(抜粋)
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