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世界各国で核融合炉開発の動きが活発化している。核融合炉は原子核同士を反応させ、そこから飛び出した粒子が保有するエネルギーを回収する構造物のことで、気候変動問題を解決する一助になると、技術開発に対する期待が日々高まっている。まだ実験段階であるものの、日米欧中露などといった国と地域による共同プロジェクト「ITER(国際熱核融合実験炉)」の運転開始も2025年に控える。
その核融合炉関連の取材を記者が進める中で、気になるインタビューがあった。さまざまな大手企業も接触を図る京都大学発のスタートアップ企業、京都フュージョニアリング(京都府宇治市)でのこと。同社Co-Founder & Chief Fusioneerの小西哲之氏によると、現状「ITERで利用する規模の機器『ジャイロトロン』を開発・製造できるのは日本とロシアくらい」で、ITERの運転開始時も両国のジャイロトロンが使われる計画だというのだ。なぜ日本とロシアが先行しているのだろうか。
まず核融合炉で利用するジャイロトロンは、マイクロ波で炉内のプラズマを加熱し核融合反応を促す役割を担っている(図1)。基本的に各国の研究機関、ジャイロトロン(電子管)メーカーが二人三脚で開発を進めるのだが、核融合炉向け機器を開発できる可能性を持つメーカーがあるのは日本、ロシア、欧州、米国である。
その中でロシアはジャイロトロンを発明した国であり、現在も高い競争力を維持している。米国はジャイロトロンそのものの開発競争に敗れてしまった。
一方、日本は、まだ機器開発に注力しており、量子科学技術研究開発機構とキヤノン電子管デバイス(栃木県大田原市、旧・東芝電子管デバイス)が重要な役割を果たしている。両組織は21年5月、世界に先駆けてITER向けのジャイロトロン製作を完遂したと発表している*1。
*1 https://www.qst.go.jp/site/press/20210528.html
からの記事と詳細 ( 核融合炉の中核部品は日本とロシアが独占 夢を見た欧州は後手に - ITpro )
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