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Tuesday, May 10, 2022

車部品メーカーどう支える? 供給網維持 金融連携を - 読売新聞オンライン

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 自動車を中心とした東海地方のサプライチェーン(部品供給網)の維持、発展に向けて、三菱UFJ銀行は中部地区で地方銀行、信用金庫、経済団体などと連携して大きな枠組みを作りたいと思っています。

 自動車部品の部品供給網は、ティア1(1次取引先)と呼ばれる年間売上高1兆円以上の巨大部品メーカーから、中小まで何層にも連なっています。(3万点とされる)部品の一つでも欠けると自動車はできません。

 一方で、金融機関の対応は、メガバンク、地銀、信金がそれぞれ部品供給網の異なる層と取引しており、バラバラです。

 蓄積したノウハウや新しい技術などを他の金融機関にも提供し、その取引先がうまくいけば部品供給網が維持できます。我々の取引先や地域全体も良くなると考えています。むろん、顧客の情報管理の徹底は守らなくてはなりません。

 長らく自動車を中心に製造業を担当する中で、金融機関が結束して部品供給網を支える仕組み作りの必要性を感じていました。この地域のためにしっかり取り組みたいと決意しています。

 

 

 例えばカーボンニュートラル(脱炭素)は、企業規模の大小にかかわらず乗り越えなければならない共通の喫緊の課題です。地域のあらゆる金融機関も連携する必要があります。どんな新技術を導入すれば対応できるかなど、それぞれがノウハウを持ち寄って対応するべき問題だと思います。

 電動化や自動運転といった次世代技術「CASE」、とりわけ内燃機関から電池への移行に対する対応も大きな課題です。内燃機関の部品メーカーはこれにあわせて事業構造を変えなければなりません。

 事業承継は、当行の中部地区だけで年間1200件近くの相談に対応しています。このノウハウは信用金庫などの顧客に当てはまるパターンもあるはずです。

 取引先の課題は以前は事業承継や資本の組み替え、海外進出と、方向性があらかじめ固まったものが多かったのですが、最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素といった金融機関の提案の中身から問われるタイプが多くなっています。

 

 4月末に名古屋銀行と静岡銀行が包括提携を発表しました。人口減や低金利など銀行は経営環境が大変厳しい中で、安定した銀行経営ができるのは良いことです。地域の役に立つという観点で、連携はありうる選択肢だと思います。

 愛知銀行と中京銀行の経営統合は親和性の高い組み合わせだと受け止めています。もともと地域の顧客が重なっており、いずれも信用性が高い。強い銀行になり、多岐にわたる顧客ニーズに対応できるようになれば、地域経済の発展に貢献できると期待しています。

 とりわけ原油価格は相場の変動が激しく、電力や物流のコスト高ともあいまって、東海地方の企業経営も不安定化させています。

 アジアと欧州を結ぶ航空貨物路線も、ロシア上空を飛べなくなり、時間もコストもかさんでいます。

 中部地区の取引先の中でロシアに進出している企業もあり、影響を懸念しています。日米欧の対露経済制裁、ロシア中央銀行のルールの変更と日々刻々と変化する情勢にあわせ、当行の担当部門はほぼ毎日、取引先を支えるために情報交換を行っています。(聞き手 岡崎哲)

 三菱UFJ銀行の高原一郎副頭取は中部地区の地方銀行、信用金庫との連携に意欲を示した。近年、中京銀や十六銀、百五銀など親密行の持ち合い株の削減を進めてきたが、サプライチェーン維持には地銀、信金の協力が不可欠と再認識したようだ。親密行だけでなく幅広に連携を求めるようだ。既に複数行が前向きとみられている。

 地銀や信金にも利点がある。脱炭素やデジタル化、新興企業への「エクイティー・ファイナンス」(新株発行を伴う資金調達)など専門性が高い課題への対応は遅れがちで、メガバンクとの協力は魅力的だ。低金利で預貸利ざやの伸びに期待できない中、取引先の課題解決は伸びしろが期待できる収益源になりうる。

 地銀、信金には取引先の情報管理の徹底、他のメガとの関係維持などハードルも多いが、垣根を越えた連携がどこまで進むのか注目される。

 

 1964年生まれ。88年、南山大法学部卒、東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行。執行役員名古屋営業本部名古屋営業第二部長、常務執行役員名古屋営業本部長などを経て、2022年4月から現職。名古屋市出身。学齢期は主に愛知県尾張旭市で過ごす。

 2006年に東海銀行の流れをくむUFJ銀行と東京三菱銀行が合併し、18年に現行名に改称した。信託、証券、カード、リースなど各事業会社と国内最大級の金融グループを形成する。21年9月末時点で、静岡県を含む東海4県の貸出残高は前年同期比18・0%減の7・5兆円、預金残高は6・7%増の25・3兆円。全国でも、東海3県でも、主力行とする企業の割合は最も大きい。

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