新型コロナウイルスの封じ込め政策をとる中国が上海市のロックダウン(都市封鎖)を始めてから28日で2カ月となり、日本の製造業や商品流通に深刻な影響を及ぼしている。部品の生産や輸送が滞り、家電販売店では新製品を入荷しづらい状況が続く。品薄感から一部では旧型製品の値上がりも観測されている。(妹尾聡太、山口哲人、北京・白山泉)
「上海のロックダウンが始まって以来、じわじわと欠品が増えてきた」
ジョーシン王子店(東京都北区)の武井祐二店長が表情を曇らせる。洗濯機やエアコン、電子レンジといった白物家電のほか、給湯器など十数品目で一部商品に欠品が生じている。
品ぞろえの悪化が目立つのが洗濯機。売れ筋の日立とパナソニック製の商品がそれぞれ8機種ずつ、4月下旬から供給されなくなった。半導体製品や電子部品のメーカーが集まる上海や周辺都市の封鎖によって、日本企業の工場でも操業が大幅に制限され、輸送も停滞しているためだ。
夏場を前に買い替えが盛んになるエアコンも、今年発売の新モデルの入荷が滞りがちとなり、旧モデルの在庫品を買う傾向が強まっている。購買支援サイト「価格.com」の集計では、通常は値下がりしやすい前年モデルで、この3カ月間に最安価格が2割ほど上がった例があった。
サイトを運営するカカクコムの鎌田剛執行役員は「エアコンは猛暑に備える必需品のため『多少高くても買わないといけない』という意識が働く。店側も新型の入荷が遅れることを見越し、在庫のある旧型を高めに売ろうと考える。他の家電でも需要が高まれば起こり得る」と指摘する。
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中国の「ゼロコロナ」政策の影響は、中国から部品を輸入する中小の製造業や建設業などにも及ぶ。本紙と城南信用金庫が今月、東京や神奈川の中小企業約800社に実施したアンケートでは、7割が原材料や部品の不足、調達遅延の「悪影響がある」と回答した。
アンケートでは、「材料が手に入らず受注を延期・停止した」「仕入れ価格が上がって利益を押し下げている」といった声が相次いだ。こうした声に対し、松野博一官房長官は27日の記者会見で「資源エネルギーや半導体製造用の希少なガスなどについて、供給源の多角化や国内生産設備の増強支援などを実行している」と説明した。
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