宮城県内で震度6強を観測した3月16日の地震で被害を受けた県美術館(仙台市青葉区)の休館が長引いている。再開予定は6月下旬とだいぶ先。部品が落下した天井の復旧に時間がかかるためという。今月開幕予定だった大和町出身の彫刻家、故佐藤忠良さんの企画展は来年2月に延期され、美術ファンは地震対策の徹底と一日も早い再開を待ち望む。
県美術館によると、本館展示室の天井に取り付けられた格子状のアルミ製化粧板(縦約170センチ、横約90センチ)2枚が落下した。化粧板は無くても支障がないため、展示室に約1000枚設置されている全てを外す。
1階が柱だけのピロティ構造になっている正面入り口前は所々、天井から緩衝材のゴムホースが垂れ下がる。揺れでコンクリート製の部品と部品の隙間が開いたためだ。佐藤忠良記念館も、石こうボードが落下した一部の天井板を交換する。
収蔵する美術品そのものは被害がなかった。絵画はつり金具をフックにかけて上から輪留めをし、金具が跳ねないようにしている。彫刻は台座から鉄棒を貫いて作品を固定。これらの防災対策が奏功した。
昨年2月の地震ではピロティのゴムホース脱落が多かったが、展示室には被害がなく、2カ月後に再開できた。東日本大震災時は2カ月弱後の5月1日に佐藤忠良記念館を先に開館。全館再開は7月5日だった。
佐藤忠良展、来年2月に延期
影響が大きいのは今月23日開幕予定だった「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」展の延期。展示品が全国各地の美術館を巡るため、既に予定が決まっている群馬県立館林美術館(7~9月)、いわき市美術館(11~12月)の後にずらさざるを得なかった。
美術館を利用する人たちからは早期の再開を待ち望む声が聞かれる。
青葉区の銅版画家中村由起子さん(63)は「休館が続きショック。コロナ禍に美術館を訪れて前向きな気持ちになる人も多い。庭も愛されており、問題のない場所だけでも一日も早く開けてほしい」と望む。
「県美術館の百年存続を願う市民ネットワーク」共同代表の美術家早坂貞彦さん(84)は「震災でも建物の構造には問題がなかった。ただメンテナンスが重要で、予算をちゃんと確保してほしい」と注文する。
浜崎礼二副館長は「地震対策は今までも注意を払ってきた。安全優先で再開する。忠良展は絵画もクローズアップし、画家忠良の側面を紹介したい。楽しみに待っていてほしい」と話す。
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