ホンダは主要な部品メーカーに毎年4%のCO2削減を求める。背景には東証再編を見据えた、気候関連情報の開示の強化がありそうだ。
ホンダが主要な部品メーカーに対し、CO2排出量を2019年度比で毎年4%ずつ減らし、50年に実質ゼロにするよう要請したことが分かった。
50年の排出実質ゼロに向けて、部品メーカーに計画を策定してもらい、可能な範囲で取り組みの開始を前倒しすることも求めたという。
自動車メーカーが、具体的な数字を示して調達先に排出削減を要請し始めた。日本ではトヨタ自動車が21年6月、調達先に対しCO2排出量を毎年3%削減することを要請。独メルセデス・ベンツは39年に新車のライフサイクル排出量を実質ゼロにする。部品メーカーに排出削減を要請する方針を示し、対応できない場合は発注を見直す。日本メーカーは、調達先の見直しまでは踏み込まないとみられる。ホンダは以前から進める工場の省エネ診断などを進展させる見通しだ。
企業のスコープ3開示が再燃
ホンダは21年4月、事業のライフサイクル全体でのCO2排出量(スコープ1~3)を50年に実質ゼロにし、気温上昇を「1.5℃に抑える目標を目指す」と発表した。20年のスコープ1〜3排出量は約2億5448万tだった。同社は12年、世界に先駆けてスコープ3排出量を公開し、他社が後を追った経緯がある。
同社はその排出の約8割を占める自動車の走行時のCO2排出原単位の改善に取り組んできた。四輪車では20年度に00年度比で29.8%改善して、実績も上げている。
走行時のCO2排出量は、クルマの電動化と再生可能エネルギー電力の使用などによりゼロにする算段が立つ。今回、部品の製造時まで切り込み、CO2排出量を削減する。下のグラフに示した「スコープ3その他」(全排出量の18.8%)の一部が対象になる。ホンダは、部品メーカーとの協力を通じて、部品製造時のCO2排出量をより具体的に把握できるようにする。
■ ホンダは部品製造時のCO2排出削減に切り込む
ホンダが2021年9月に発売した新型「CIVIC」
(写真:ホンダ)
日立製作所も調達先に対し、部品や素材の製造時のCO2排出量の開示と削減を求め始めた。背景には、22年4月に予定される東京証券取引所の市場再編がある。最上位となるプライム市場の上場企業には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言と同等の枠組みに沿った情報開示が必要になる。21年10月にTCFDが改訂したガイダンスによれば、スコープ1、2排出量の開示は必須で、スコープ3排出量も開示が推奨される。
企業は、サプライチェーン全体での排出削減に、いよいよ手を着けざるを得なくなってきた。
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