日本銀行の黒田東彦総裁は5日、イールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)でゼロ%程度に誘導する長期金利について、「変動幅を拡大する必要があるとは考えていない」との見解を示した。今月の金融政策決定会合後に公表する政策点検に関連し、衆院財務金融委員会で述べた。
日銀は現在、ゼロ%を中心に上下0.2%程度まで変動を許容する方針を取っている。
黒田総裁は拡大が不要な理由として新型コロナウイルスによる経済への打撃を挙げ、米国の長期金利が上昇したとしても日本では、「債券市場の安定を維持して、イールドカーブ全体を低位で安定させるのが重要な状況であるということにはまだ変わりない」と指摘。「しっかりした金融緩和が持続できるように点検していきたい」と続けた。
日本の長期金利は午後の取引で 低下に転じ、前日比3.5ベーシスポイント(bp)低い0.100%をつけた。午前の取引では米国長期金利の上昇を受け0.15%まで上昇していた。決定会合前に黒田総裁が踏み込んだ発言をしたことで、市場が反応した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは黒田総裁の発言の背景を「金利上昇がやっかいな局面に入りつつある中で、年度末に向かって金利上昇・株安のサイクルに入ることを避けたかったのだろう」と分析。政策点検ではYCC運営について「変動幅の再拡大がないのであれば、国債買い入れオペについて、よりきめ細かい運営を行う方針を示してくることなどが考えられる」と予想した。
日銀は18、19日に開く金融政策決定会合で現行緩和策の点検結果を公表する。YCC運営やETFを中心とした資産買い入れ方法の見直しなどが検討対象。
黒田総裁は上場投資信託(ETF)購入について、今後も弾力的な買い入れをする必要があると説明。具体的にどうメリハリをつけるかに関し、点検で議論する。
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