国内でホテル事業を展開するユニゾホールディングスの株式公開買い付け(TOB)を巡り、筆頭株主の米エリオット・マネジメントは9日、開示内容の欠如やこれまでの対応に利益相反の「重大な懸念」があるとし、ユニゾHDの取締役会に対し質問状を送付した。
質問状では、ユニゾHDが9月27日に公表した「買収提案に対する対応の基本方針」について言及。旅行会社のエイチ・アイ・エス、ソフトバンクグループ傘下の投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループがそれぞれ発表したTOBに対する態度を8月に表明した際の同方針の有無、存在した場合になぜ公表しなかったのかをただした。
方針では、同社従業員が設立する会社を契約当事者に加えることのほか、買収後の利益回収のための資産売却時期や方法を選択できることなどを定めている。
さらにエリオットは、フォートレスとの交渉内容を示した10月2日付の公開買付訂正届出書で、ユニゾHDは保有する米国不動産の大部分をフォートレスに売却し、その代金を「ユニゾ従業員等出資の会社」が一部株式取得に利用することを計画している点を指摘。計画は著しい「利益相反のおそれ」を内包しており、内容を明確にするよう求めた。
ユニゾHDを巡っては、7月にHISが1株3100円でのTOB実施を表明。ユニゾHDは反対意見を表明し、8月16日にフォートレスがホワイトナイト(白馬の騎士)として4000円でのTOBを提案すると、これに賛同した。
しかし、9月27日にはユニゾHDが一転、別の世界的投資ファンドからの買収提案事実を明らかにした上で、TOB価格を5000円に引き上げるようフォートレスに要請し、賛成としていた態度を留保した。フォートレスはユニゾHDの開示内容は完全・正確ではないとし、17日までTOB期間を再延長している。
フォートレスはユニゾHD株を1株4000円で3分の2を買い付けるとしているが、株価は既に4500円を超えており、TOBが成立するかどうかは不透明だ。
エリオットは米アクティビストファンドで、ユニゾHD株の保有は8月6日に関東財務局に提出された大量保有報告書で明らかになった。当初5.51%だった保有比率は、その後の段階的な市場での買い増しで13.14%にまで増えている。
ユニゾHDの広報担当は、現時点でコメントを控えるとしている。
2019-10-09 06:30:00Z
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-09/PZ3DHU6JTSE801
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