旭化成は製品開発において人工知能(AI)を駆使するマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用した競争力強化を推進する。特に注力するのが電子部品や電子材料を手がけるデジタルソリューション事業だ。先端半導体は開発のスピードが速く、迅速に対応することの重要性が高まっている。実際に特許に関わる面での差別化で実績も出てきており、AIによる効率化が次世代を担う事業の成長を支える。
「デジタルソリューション事業をマテリアル領域の柱にしていきたい」。デジタルソリューションを含むライフイノベーション事業担当の山岸秀之専務執行役員はこう力を込める。
石油化学などを手がけるマテリアル領域の中でデジタルソリューション事業は重点成長分野と捉え、2030年度をめどに売上高を22年度比約2・5倍の3000億円に引き上げる目標を掲げる。
半導体チップなどの表面を保護する感光性絶縁材料「パイメル」の新たな工場や品証棟を静岡県富士市の拠点に整備する。エポキシ樹脂用潜在性硬化剤「ノバキュア」やプリント配線板用ガラスクロス、感光性ドライフィルム「サンフォート」で拡大する関連需要を取り込む。
事業成長に向けて注力するのが、デジタル変革(DX)技術を活用した競争力強化の取り組みだ。中でもパイメルの製品開発については先行することに力点を置き、「MIや自動化を駆使した開発の高速化を図り、先端顧客の要求性能に応える」(山岸専務執行役員)と強調する。
最近では競争力を現す成果も出てきた。特許解析マップにおいて、旭化成の特許が他社に引用される件数が多くなっているという。重要な技術を先行開発して供給していることの証左と捉え、競合との差別化にもつながるとみている。
パイメル以外でも電子材料・部品の開発は「MIなどがないとスピードや品質の要求に応えられない」(同)と気を引き締める。
例えばサンフォートでは多種多様な要求特性を同時に達成するため、MIの重要性が増している。経験豊富な開発者とMI解析者が協力して広範囲の材料を生かし、最適解を導き出す。開発者のみでは想像しなかった組み合わせを生み出し、高性能な製品をタイムリーに開発する。
先端半導体は今後も開発の高度化や高速化が進み、顧客ニーズへのきめ細かい対応が欠かせない。AIの活用をさらに進める構えだ。
からの記事と詳細 ( 旭化成、MIで電子部品開発効率化 多種多様な要求 同時達成 - 日刊工業新聞 )
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