ウクライナでロシア軍が侵略攻撃に使った北朝鮮製ミサイルが着弾し、分析にあたった英調査団体「紛争兵器研究所(CAR)」の担当者が、産経新聞のインタビューに応じた。ミサイルの残骸から、「日本企業のマークを記した部品が見つかった」と明らかにした。
この担当者は紛争地の武器調査責任者、ダミアン・スプリーターズ派遣作業局長。ミサイルは今年1月、ウクライナ東部ハリコフ市で露軍の攻撃を受けた建物から見つかった。爆発が不完全で、ウクライナ軍が残骸を回収した。
スプリーターズ氏は写真やデータの分析から、発見されたのは北朝鮮の弾道ミサイル「火星11」だとみられると話した。部品の数か所に「112」という番号が刻まれており、「112は北朝鮮の暦『主体年号』では西暦2023年にあたる。昨年、組み立てられたのだろう。新しい武器をロシアに渡したことになる」と指摘した。
ミサイルは直径110センチ。露製の弾道ミサイル「イスカンデル」(約95センチ)より大きく、モーター部分だけで2メートル近くあったという。ハングルの子音文字が書かれていた。
製造元は8カ国・地域 偽造品も?
ミサイルからは電子機器など約290の部品や破片が採取され、スプリーターズ氏は「多くは半導体。偽造品もあり、それがミサイル爆発が不完全だった原因かもしれない」と述べた。会社のマークなどから、26社が製造元として浮上した。会社の拠点は日本や米国、中国、台湾、スイス、ドイツなど8カ国・地域に広がっているという。
スプリーターズ氏は「北朝鮮は国連安全保障理事会の制裁を回避し、米欧から必要な部品を調達できる体制を築いている。一方、ミサイル製造は、外国の技術に依存しているともいえる」と指摘。日本企業の製品をめぐっては偽造品か否かを調査中で、日本政府にも情報を伝えたと話した。
7日のロイター通信によると、ウクライナ検察は昨年12月~今年2月に露軍が発射した北朝鮮製ミサイル約50発のうち、21発の残骸を調査したと明らかにした。北朝鮮製ミサイルは半分近くが軌道を外れて空中爆発し、回収できなかったとしている。(三井美奈)
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