基本形回路と比較し、入出力電圧比は最大16倍に
神戸大学大学院海事研究科/水素・未来エネルギー技術研究センターの三島智和准教授と国立中興大学(台湾)の頼慶明教授らによる研究グループは2024年4月、受動部品の削減が可能で、高い昇圧能力と低ノイズを実現した「高効率直流電源」を開発したと発表した。燃料電池や環境発電、医療機器などで用いられる電源装置に適用していく。
燃料電池や環境発電などでは、比較的低い直流電圧で電力を生成するのが一般的である。これを電子機器で用いるには、インバーターの入力電圧に合わせ、電力変換回路で昇圧する必要がある。こうした中で近年は、回路を構成する部品数の削減や効率のさらなる向上が強く求められている。
研究グループは今回、パワー半導体デバイスの高速なスイッチング動作(高周波化)、パワー半導体デバイスの電力損失と電磁ノイズの抑制(ソフトスイッチングの導入)、搭載する受動部品の削減、などを可能にする電力変換回路技術を新たに開発した。
特に今回は、GaN HEMT(窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ)にソフトスイッチングを導入するにあたり、CLC共振タンクと高周波プレナートランスの漏れインダクタンスによる共振作用を利用した。これにより、スナバなし(スナバレス)で1MHz以上のゼロ電流ソフトスイチング(ZCS)を実現し、受動部品数を最小限に抑えることが可能となった。
研究グループは、定格出力120Wで動作周波数が1〜2MHzの試作機を試作し、電力変換装置の評価を行った。試作機は、高周波インバーターQ1/Q2に100V系GaN-HEMTを、倍電圧整流回路にSiC SBD(炭化ケイ素ショットキバリアダイオード)を、高周波プレナートランスとしてMnZn系フェライトを、それぞれ採用した。
実験では、パワー半導体スイッチQ1/Q2について、オン時の比率を50%以上に確保しつつ、パルス周波数変調(PFM)で動作周波数を調整した。負荷率に応じた動作波形測定時は、1.1MHzや1.5MHzという高周波動作で、パワー半導体デバイスをソフトスイッチング動作させた。
からの記事と詳細 ( 高効率の直流電源 省部品で高昇圧、低ノイズを実現 - EE Times Japan )
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