在庫圧縮・中国低迷足かせ
コロナ禍後に顕在化した世界的な景気鈍化が日本の電子部品メーカーの出荷を押し下げた。電子情報技術産業協会(JEITA)が29日発表した日本メーカーによる2023年の電子部品世界出荷額は前年比4%減の4兆3011億円で、3年ぶりの前年割れとなった。為替の円安は前年以上に進んだが、低調な販売を補い切れなかった。23年前半は顧客が部品在庫の圧縮を進めた対応に追われ、後半は中国経済の低迷が足かせとなった。
製品別に見ると、自動車やスマートフォンなどに幅広く使われるコンデンサーは前年比6%減の1兆4217億円、コンデンサーと組み合わせて電流の波をなだらかにするインダクターは同5%減の2965億円だった。
背景にあるのはスマホやパソコン、ロボットなどの産業機器、データセンター(DC)用サーバーなど、電子部品が搭載される最終製品の需要の弱さだ。コロナ禍で消費が外食などのサービスからモノにシフト。大規模な金融緩和を背景にした資産の高騰も手伝って、一時はモノの需要が過剰なまでに高まった。だがその後に欧米を中心に巻き起こった歴史的な高インフレを受けて、モノ消費は一転落ち込んだ。
スマホやパソコンのメーカーは23年前半、それまで積み増していた部品在庫の圧縮を加速。電子部品各社の販売は実需以上に落ち込み、円安のプラス効果を打ち消した。
民生機器の顧客の在庫調整は23年6月までにほぼ一巡。電子部品メーカーも自社の在庫削減に努め、需要が回復した際に稼働率を上げられる態勢を整えた。またハードランディングが一時懸念された米国経済もコロナ禍で積み上げた過剰貯蓄の取り崩しやリベンジ消費意欲を背景に想定以上の粘り腰を見せ、底堅さを維持した。
だが23年後半も電子部品出荷は回復しなかった。最大市場の中国で景気の停滞感が強まったためだ。23年の中国向け出荷額は22年比9%減の1兆4340億円にとどまった。
中国では不動産バブルの崩壊などを背景に民間消費が低迷。一方でコロナ禍発生後に政府が企業に対して資金援助を行った結果、一部の産業では生産能力過剰に陥った。スマホや白物家電などの耐久消費財から工場向けのロボットまで幅広い需要が落ち込んだ。
欧米とは異なり、物価の下押し圧力も強まった。需要が堅調だった電気自動車(EV)も例外ではなく、電子部品の出荷額押し上げにつながらなかったとみられる。
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