電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した日本メーカーによる2023年11月の電子部品世界出荷額は、前年同月比3%増の3906億円となった。22年10月以来、13カ月ぶりにプラスに転換した。前年の同時期は中国の都市封鎖などが現地の電子部品需要を押し下げたが、今回、その反動増が生じたとみられる。ただ足元の中国経済は失速が目立ち、成長軌道に戻るまで時間を要するとの見方もある。電子部品も回復を持続できるが問われる。
品目別で見るとスマートフォンや自動車などの中で電気を一時的に蓄えたり放出したりして回路のノイズを除去し、電圧を安定させるコンデンサーは同3%増の1283億円で、2カ月連続のプラス。ただ10月は為替の円安影響が大きく、ドル換算では約2%の減だった。11月はドル換算でも前年同月を約12%上回った。
白物家電などに搭載されるスイッチは前年同月比6%増の406億円、温度や圧力を検知して電気信号などに変換するセンサーも同6%増の215億円だった。
世界出荷額の増加は、中国が新型コロナウイルスを徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を行って景気が低迷した22年からの反動増の側面が大きい。地域別で見ても中国向けの出荷額は同12%増の1413億円と、22年10月以来のプラスとなった。
ただ、電子部品の需要が回復局面入りしたとまでは言い切れない。電子部品出荷が今後も前年同月比プラスを維持するには実需の回復が欠かせないが、最大市場の中国で景気の先行き不安がなお根強いためだ。マンション販売不振の長期化で不動産企業が新たな開発に慎重になった結果、新居購入時に買い替えが進みやすい白物家電など耐久財の消費が落ち込んでいる。
電気自動車(EV)も24年からは販売補助金の対象車種が減り、先行きに厳しさが増している。部品も「中華系スマホ向けは比較的堅調だが、産業機器向けが弱い」(業界関係者)と慎重な見方が大勢を占める。
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