かつてアルゼンチンではポルシェ「356」のパーツが多数流通
アルゼンチンに居を構えたイタリア人コーチビルダー、アルド・ボルギが手がけた世界で唯一のモデル、ポルシェ「356“ボルギ・アバルト”」のことを『VAGUE』でご紹介したばかりですが、同様に、ポルシェ「356」のパーツを使ってアルゼンチンでワンオフ制作されたワケありクーペが、先日、オークションに出品されていました。
356“ボルギ・アバルト”の記事では、「当時は、ポルシェが世界で唯一、アルゼンチンの(複数の)自動車メーカーにエンジンやトランスミッションなどを供給していた時代。それだけに、ハードウェアの調達は容易だった……」とご紹介しました。
ちょっと調べてみると、「ITA ZUNDER1500」、「IAME JUSTICILIASTA」、「TERAM PUNTERO」といったモデルが、エンジンなどのパーツを356と共有していたそうです。PUNTEROに至ってはフロントマスクが“まんま”356(リアは「カルマンギア」にそっくり!)ですから、ちょっと驚かされます。
1950年代のアルゼンチンは、消費地として魅力的だったのか、それとも、ドイツとアルゼンチンの関係性が歴史上強かったのか、理由がいろいろと気になりますね。フアン・ペロン元大統領はドイツの資金援助によって大統領の座にのし上がったという話もあるようですし、歴史を学び直したくなるきっかけになります。
そんな356つながりでオークションに出品されていたのが、その名も「ラドーリ(LaDawri)スペシャル」です。過去には「ラドリ・シシリアン」としてオークションに出品されたこともありますが、どうやらワンオフでつくられたモデルだったことが分かったようです。
●フォルクスワーゲンのシャシーにポルシェのエンジンと足回り
ラドーリは1956年にカナダで創業したグラスファイバーを得意とするコーチビルダーで、1957年にアメリカへと移転。フォード、シボレー、フォルクスワーゲンなどのプラットフォームを用いてさまざまなボディを制作していました。
今回ご紹介するラド―リ スペシャルは、フォルクスワーゲン製のシャシーがベースとなっています。クラシック・ポルシェのスペシャリストによって、このモデルにポルシェ356のエンジン、ブレーキ、サスペンション、ホイール、駆動システムが用いられていることが確認されたそうです。ちなみにトランスミッションは、フォルクスワーゲンのものを流用しているんだそうです。
エンジンをリアに搭載しているRR(リアエンジン/リアドライブ)車ですから、ロングノーズのボンネットの下は空っぽ……なはずです。部品を寄せ集めたキットカーととらえることもできますが、貴重な356 1600Sのエンジンを積み、ポルシェ356の足回りを持つクルマであることは事実です。
歴史的価値があるんだか、ないんだか、とらえ方がなかなか難しいクルマといえます。「Collectingcars.com」でのオークションも入札者にはそんな戸惑いがあったようで、結果的に5万1500ポンド(約953万円)で落札されました。ワンオフモデルゆえに情報が少なく、すでにラドーリが存在していないことも、この落札価格につながったのかもしれません。
個人的には、もっと高く落札されると思っていましたが、現状「要メンテナンス」とあるので妥当な金額だったのでしょう。もっといえば、当たり前のことながらオークションは時価であり、そのときどきの需要と供給によって支配されているものです。
それにしても、1950年代のポルシェって、356のパーツを方々に供給していたんですね。今のポルシェでは考えられない話です。
からの記事と詳細 ( ポルシェの部品でつくった「ワケありクーペ」がオークションに登場! アルゼンチンでポルシェ由来のワンオフ車両が複数生まれた ... - VAGUE )
https://ift.tt/ExbJW8g
No comments:
Post a Comment