広島大学の高木健教授らは、機構部品を3次元(3D)プリンターで製作した4脚ロボットを開発した。脚や減速機などの大部分を3Dプリンターでその都度製造できるため、メンテナンス用の部品在庫を最小限に抑えられる。強度を高めるために締結部を最適化した。設計上は世界最速が目指せる。4脚は階段や段差を走破しやすい。施設の自動巡回点検などに提案していく。
樹脂熱溶融積層式の3Dプリンターで機構部品を製作した。減速機はトロコイド方式を採用した。2枚の内歯車が外歯車に収まり減速比を調整する。この歯面は切削加工で滑らかに仕上げた。
樹脂製部品は強く締め過ぎると歪む。そこで締結部分は二つのナットを重ねるダブルナット方式にした。ナットはインサートとして樹脂部品に埋め込む。3Dプリンターはインサートに合わせて造形でき、埋め込むことで締結長を短くして剛性を高められる。
機体は胴体の長さが64センチメートルで脚の長さは50センチメートル弱。重量は10キログラム強と軽い。モータードライバーなども自作して設計上は世界最速を目指せる。走破性能は今後検証する。屋内の巡視などの用途を想定している。
3Dプリンターとネジ締結で組み立てられるため、破損時の部品交換がしやすい。将来、複数台のロボットを運用する際に1機分の部品をそろえておけば急な故障に対応できることになる。また市販品と異なり、供給が止まるリスクが小さい。運用中に改良を重ね、複数の型式が共存することになっても交換部品をそろえやすい。
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