織機に搭載され、縦糸の位置を整え、横糸を織り込む基幹部品が筬(おさ)だ。リードとも呼ばれ、織物の品質を左右する。国内最大手の高山リード(金沢市)は国内シェア約7割を誇る。アジアや欧米を中心に輸出している。
金沢駅から電車で1時間余り。JR七尾線の良川駅(石川県中能登町)近くに主力の生産拠点、良川工場がある。筬づくりは、筬羽(おさば)と呼ばれるステンレスなどの薄板を機械で1枚ずつ整列するところから始まる。
衣類やエアバッグなどの織機に使う筬は長さ2〜3メートル程度。製紙業界に欠かせないろ過布の生産するための筬は12〜15メートルほどになり、ジャンボリードと呼ばれる。均等な間隔に並ぶように、密度に適したスプリングを隙間に入れて寸法調整などをする。
乾燥させた後、筬羽がきれいに整列していない箇所があれば手直しする。長さ2〜3メートル程度の筬で、筬羽は3000から6000にも及ぶ。先端がツルの首に似ている道具で微調整する根気の必要な作業だ。洗浄や最終検査などを経て出荷する。
高山徹社長は「丁寧に作っているし、検査も厳しくしている」と話す。筬の品質と織物の生産は連動する。品質がよくないと、糸が切れるなどして織機が止まってしまうからだ。
1915年、筬の修理業として石川県内で創業。その後、生産を手がけるようになった。72年に韓国に合弁会社を設立したのを手始めに、現在ではタイや中国など海外に6カ所の製造拠点を持つ。高山健常務は「海外のお客様とも直接取引することでコミュニケーション向上と信頼関係を築いてきた」と説明する。
海外で強いのがジャンボリードで、世界5割のシェアという。生産できるのは世界で4社で、日本では高山リードだけだ。同社の2022年3月期の単体売上高は約18億円。受注は堅調で、円安も影響し、海外からも引き合いが増えている。
近年、力を入れているのが工場勤務の職人の育成だ。ベテラン社員が若手を指導する社内の「高山アカデミー」を通じて技能伝承に取り組む。高山社長は「ほとんどの工程が手づくり。職人をしっかり育てないとお客様を裏切ることになる」と気を引き締める。
(石黒和宏)
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