【シリコンバレー=佐藤浩実】米動画配信大手ネットフリックスは13日、2022年中にも導入する広告付きプランで米マイクロソフトと提携すると発表した。広告を組み込むための技術や営業で同社と組む。会員数の停滞に悩むネットフリックスにとり、価格を抑えた広告付きプランの成否は今後の成長を大きく左右する。一大プロジェクトの提携相手として、実績と資金力のあるIT(情報技術)大手を選んだ。
ネットフリックスのグレッグ・ピーターズ最高執行責任者(COO)がブログで明かした。広告プランの導入に必要な技術や販売面の知見を評価したという。「マイクロソフトは我々の会員のプライバシーに対する強力な保護を申し出た」とも指摘した。契約額や期間は明らかにしていない。
ネットフリックスは4月、広告付きプランの導入計画を明らかにした。これまで広告がないことを売りにしてきたが、3か月ごとに公表している動画配信サービスの会員数が過去10年で初めて減少に転じ、対策を打つ必要に迫られたためだ。広告のない従来のプランに加えるかたちで、22年中にも広告付きのサービスを用意する。
広告プラン、米成人の6割が支持
米調査会社モーニングコンサルトが3月に調べたところ、米国の成人の6割近くは「広告があってもより安価な動画配信サービスを好む」と答えた。競合の「HBOマックス」や「Hulu」などはすでに広告付きプランを設けている。生活必需品のインフレが続くなかで娯楽支出を見直す消費者は増えており、ネットフリックス離れの一因になっていた。
世界で2億2000万人の視聴者を抱えるネットフリックスの広告プラン導入を巡っては、多くの広告関連企業が協業に関心を示していた。米グーグルや米通信大手コムキャスト系の企業も名乗りを上げていたもようだ。マイクロソフトは動画配信サービスで直接競合せず、提携相手に選びやすかったとみられる。
マイクロソフトにとっては広告事業に弾みをつける大型契約となる。同社の検索広告の売上高は21年6月期に85億ドル(約1兆1600億円)だった。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「長く利用できる広告の収益化プラットフォームを通じ、より多くの人がどこでも好きなコンテンツにアクセスできるようにしたい」と述べた。
提携発表を受け、13日の米市場でネットフリックスの株価は前日比で1.2%反発した。ただピークだった21年11月と比べると75%近く下がっている。広告付きプランについても「始まったばかり」(ピーターズ氏)として金額などの具体策を明らかにしておらず、投資家を安心させる材料にはなっていない。19日に予定する4〜6月期の決算発表で、より踏み込んだ説明があるかが注目を集めている。
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