障がい者サッカーと言っても、「ブラインドサッカー」や「電動車椅子サッカー」「知的障がい者サッカー」など7つの種目がある。
このうち、腕や足を切断した人が杖を支えにプレーするのは「アンプティサッカー」。静岡・焼津市の親子が、同じ目標に向かって挑戦を続けている。
広がっていく障害者サッカー
2022年1月。静岡市清水区で、障がい者サッカーのイベントが開かれた。
この記事の画像(12枚)静岡FIDサッカー連盟・瀬戸脇正勝 理事長:
電動車椅子の醍醐味を、東高の先生に見せてくれる?
車椅子を巧みに操り、まさに体全体でボールを蹴る、電動車椅子サッカー。
他にもパラリンピック種目のブラインドサッカーなど、7つある障がい者サッカーの全ての種目について、現在、静岡県内でもプレーできる環境が整っている。
瀬戸脇 理事長:
例えば足がなくてサッカーをやったり、手がなくてサッカーをやったり、耳が聞こえなくてサッカーをやったりする人が、ほとんど地域にはいないじゃないですか。そういった部分ではクラブというよりも、コミュニティを作りたい。我々も含めて7つのサッカーに関わることができる機会ができたというのは、地域社会を豊かにすることにつながっていくので、大きな一つの使命としてやっていきたい
親子でアンプティーサッカーの世界に
SDGsの目標の一つである、「すべての人に健康と福祉を」。そして「人や国の不平等をなくそう」。
静岡・焼津市の若杉幸治さん(46)とその息子・颯太さん(23)はアンプティサッカーの舞台で、この目標を体現している。
腕を切断した人がゴールキーパー。
足を切断した人がフィールドプレーヤーとなるアンプティサッカー。
1チーム7人で25分ハーフを戦う。
父・幸治さんは22年前、高速道路で大型トラックを運転中、事故に巻き込まれ右足を切断した。
父・幸治さん:
自分の子供と一緒にサッカーやりたかったから。一緒にサッカーできないのが、まずもう、どうしても受け入れられなかったんだよね
(2010年撮影のビデオ 颯太さんのプレーに幸治さんは...)
父・幸治さん:
オラオラオラ!遅いんだよお前!
9年前に「アンプティサッカー」と出会うまで、幸治さんはサッカーができない苛立ちを颯太さんにぶつけてきた。
我が子のプレーに納得がいかず、ユニフォームを引き裂いたことも。それでも颯太さんは父の辛さを受け止め、サッカーを続けてきた。
息子がコーチとして父のチームに
父とサッカーがしたい。その夢を叶えるため2021年、父の所属するチーム「ガネーシャ静岡AFC」のコーチに就任した颯太さん。
息子・颯太さん(選手へのアドバイス):
インパクトの瞬間がどうしても、ショートパスのときよりボールの下にいっちゃってるんですよ。なるべく真っすぐ。ちゃんと蹴る
父が「生きがい」を取り戻したアンプティサッカーの素晴らしさを、父と同じ境遇の人たちにも伝えたい。
そして何より、父と仲間たちとともに日本一を目指して戦いたい。
息子・颯太さん(試合で選手に声をかける):
幸治君、行くときは行く。いまの中途半端!セカンド、先触れ!
チームが得点を決めると、選手、スタッフ一同が喜びを分かち合う。チームが一つになるのを感じた。
息子・颯太さん:
切断者の人たちに寄り添うとか、背中を押す感じでもないんですよね。一緒に横一列になって前進していくような。それは健常者だけじゃ成り立たないし、切断者だけでも成り立たない。そのエネルギーは静岡・ガネーシャはあるなと思う。
スタッフのサポートと、それに対して切断者の方たちの激闘というか、満身創痍(そうい)になりながらも必死にボールを追いかけるのが相まって、すごいエネルギーとパワーになって、それが魅力じゃないかと自分では思います
健常者も障がい者も、年齢も性別も関係ない。
杖を支えにプレーすれば、誰もが同じ目線で戦えるアンプティサッカー。
こうした多様な障がい者スポーツの世界を知ること、そして関わっていくことが、豊かな社会の実現につながっていくはずだ。
(テレビ静岡)
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