トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社が発表した2023年3月期連結業績予想は5社が増収、営業増益を見込む。主要顧客であるトヨタ自動車をはじめ、世界の自動車生産は回復基調にあり、一定の収益を確保できる見込み。一方で原材料価格や物流費の高騰、長引くコロナ禍などが利益を圧迫している。経営環境が不透明な中、各社は収益体質の強化を推し進める。
決算会見では高騰する原材料価格や長期化する半導体不足、ロシアによるウクライナ侵攻の影響などにより「先行きは不透明」と話すトップが相次いだ。ただ、愛三工業の野村得之社長は「原材料の影響は今後さらに大きくなる。予測不能な環境変化に柔軟に対応する」と強調。ファインシンターの井上洋一社長も「柔軟な現場改善と固定費の圧縮で厳しい経営環境に対応する」と前向きに捉える。フタバ産業、愛三工業、ファインシンターは23年3月期に売上高、全利益項目が前期を上回る見通し。
懸念材料の一つはトヨタの生産台数が下振れしている点だ。大豊工業は「合理的な予測が困難」(杉原功一社長)として、23年3月期業績予想の発表を先送りし、「第1四半期決算をめどに提示したい」とした。東海理化は23年3月期に売上高と営業・当期利益で前期比増を見込むが「慎重に(トヨタの)台数を読んで戦略を立てたい」との姿勢を示した。
生産計画については「変動が大きく、分からないファクターが多い」(中央発條の高江暁社長)と見る向きが多く、「本格的な回復は年明け以降」(井上社長)となりそうだ。
22年3月期決算では愛三工業、大豊工業、中央発條、ファインシンターの4社が増収増益だった。
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日刊工業新聞 2022年4月28日
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