電子部品全体では今後、受注はいったんピークアウトし反動減が起きる可能性が高いと慎重な見方が広がる(MLCC)
電子部品メーカーが短期的な需要動向の変化を警戒している。村田製作所は2021年度業績予想の前提となる最終製品の需要見通しを下方修正した。TDKは増産に振り向ける予定だった投資計画を一部見直し、製品の高性能化や次世代技術対応に振り向ける。コロナ禍や半導体不足などによるサプライチェーン(供給網)の混乱が落ち着くまで不透明な情勢は続きそうだ。(山田邦和)
「全体では7月の前回予想より最大で5%程度落ち込むとみている」―。村田製作所の村田恒夫会長は10月、21年度のスマートフォン世界販売台数(部品取り込みベース)減少の可能性を指摘。期初に15億2000万台と想定していた台数は14億600万台まで下がり、20年度の14億5000万台を下回る可能性が出てきた。
同様に自動車生産台数も7月時点予想から5―10%下がる可能性を示唆。8500万台としていた初期見通しを7月に8400万台に下げており、さらに10%減ると、スマホ同様に前年度実績(7600万台)を割り込む計算。具体的な数字を公表していない他の電子部品メーカーもおおむね同じ見方だ。
半導体不足やサプライチェーン(供給網)の混乱などで減産が期初の想定以上に長引いていることが背景にある。京セラの谷本秀夫社長は「11月には自動車各社の生産が正常化すると言われていたが、足元でもそうなっていない。当社の車載向け部品の販売も影響を受けている」と説明。スマホ向けも「大きな影響は受けていないが、来期の注文に不安はある」とする。
日本電産は自動車の減産に加え、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)の影響も受けた。東南アジアにある小型精密モーター工場の操業率が低下。特にベトナムの工場は「足元では挽回しつつあるが、8―9月はほとんど止まり、中国やフィリピンで代替生産を行った」(永守重信会長)。
これまで自動車などの顧客は部品在庫を積み増し、電子部品各社も恩恵を享受してきたが、反動減を警戒する声もある。仮に在庫調整が発生しても「構造的なものではなく、一時的」(永守会長)との見方が多く、電子部品メーカーで21年度の設備投資額を見直す動きは広がっていない。
ただ、TDKは21年度を含む3年間の累計で過去最大となる7500億円の設備投資を計画しているが「金額を大きく変えるつもりはないものの、中身を変えていく」(石黒成直社長)という。その一つが電池だ。スマホ向け小型電池の増産投資を当初の計画ほど行う必要がなくなったとして、一部を「より高性能で高充填な小型電池の技術開発などに振り向ける」(同)。
電池以外では自動車用の電子部品向けに資金を厚くしていく。同社の磁気ヘッドが使われるHDD(ハードディスク装置)でも「次世代技術と言われたMAMR(マイクロ波アシスト記録)が現実味を帯びてきており、当社も対応のために投資を振り向ける必要がある」(同)とする。
日刊工業新聞2021年11月29日
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