一時的な現象にとどまるはずだった世界的なサプライチェーンの混乱は、来年に入っても続きそうな気配だ。新型コロナウイルスのデルタ変異株が急拡大しアジアの工場生産は一変、輸送も妨げられ、世界経済に新たなショックとなっている。
主要部品の不足と原材料・エネルギーコストの上昇に見舞われている各メーカーは、輸送船のスペース確保に向け入札競争への参加を余儀なくされており、その結果、運賃が過去最高水準に高騰している。一部の輸出業者は値上げ、あるいは単に輸送を完全に取りやめるようになっている。
香港を拠点とするミュージカル・エレクトロニクスのクリストファー・ツェ最高経営責任者(CEO)は、「部品を十分調達することができない。コンテナも手に入らず、コストは跳ね上がっている」と話す。
中国はコロナを撲滅する断固とした姿勢を示しており、感染者が少数でも貿易に大きな妨げとなる可能性がある。中国政府は今月、港湾労働者1人がデルタ株陽性だったとして、世界で3番目にコンテナ取扱量が多い寧波舟山港の一部を2週間にわたり閉鎖した。
中国、コンテナ取扱量で世界3位の港を部分閉鎖-労働者がコロナ感染
台湾の 長栄海運(エバーグリーン・マリン)の謝恵全社長は今月20日に開いた投資家向けのブリーフィングで、「港湾の混雑とコンテナ輸送能力の不足は今年第4四半期、あるいは2022年半ばにかけても続く可能性がある」と説明。「コロナのパンデミック(世界的大流行)が効果的に抑えられなければ、港の混雑は新常態(ニューノーマル)になるかもしれない」と述べた。
ドルーリー・ワールド・コンテナ指数によれば、アジアから欧州にコンテナを運ぶコストは昨年5月に比べて約10倍となる一方、上海からロサンゼルスへの輸送費は6倍余りに膨らんでいる。世界のサプライチェーンはあまりにも脆弱(ぜいじゃく)であり、小さな事故でも1件起きれば「その影響は容易に大きくなる」と HSBCホールティングスはリポートで分析した。
デルタ株は東南アジアでも猛威を振るっており、多くの工場でフル稼働が難しくなっている。靴や衣類生産で世界2位のベトナムでは、政府が輸出維持に向けて各工場で従業員を寝泊まりさせることを認めるようメーカーに命じた。
トヨタ自動車でさえ影響を受けている。部品の供給不足を受けて国内14工場で稼働を一時停止し、9月の世界生産が当初計画から4割程度減少するとの見通しを示した。
原題:
The World Economy’s Supply Chain Problem Keeps Getting Worse(抜粋)
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