国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の路線価(1月1日時点)を公表した。
全国に524ある税務署別の最高路線価で、下落率が最も大きかったのは、大阪市中央区心斎橋筋2(心斎橋筋)のマイナス26・4%。外国人観光客が多い奈良公園近くの奈良市東向中町(大宮通り)も同12・5%になり、全国ワースト10地点のうち7地点を近畿が占めた。
大阪・ミナミの最高路線価が下落したのは12年以来。インバウンド需要を反映した20年はプラス44・6%と高騰していたため、新型コロナの影響で反動が大きくなった。ミナミでは地価が大幅に下落しているとして、国税庁は20年分の路線価も、最大10%の減額補正に踏み切っていた。
近畿で最高路線価が上昇したのは、大阪府の豊中市(北大阪急行千里中央駅前)や高槻市(阪急高槻市駅前)、兵庫県の西宮市(阪急西宮北口駅南側)、芦屋市(JR芦屋駅前)、川西市(阪急川西能勢口駅前)の5地点。54地点あった前年に比べて激減した。5地点の周辺にはいずれも利便性が高い商業施設や人気の駅前マンションがそろい、地価が上昇している。
また、近畿で38年連続のトップになったのは大阪市北区の阪急百貨店うめだ本店前で、1平方メートル当たり1976万円(マイナス8・5%)だった。
路線価は、全国の主要道路に面した土地1平方メートル当たりの評価額で、国土交通省が毎年3月に公表する公示地価の8割程度を目安に、国税庁が算出する。【二村祐士朗、稲垣淳】
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