五輪サッカー。男子2試合(=南アフリカ戦、メキシコ戦)、女子2試合(カナダ戦、英国戦)を見た限りだが、両チームとも似た傾向を示している。

 1つはボール支配率だ。男子の南アは、感染者を出し、初戦の舞台に立てることが確定したのが開始わずか2時間前。準備不足、さらには「完全アウェー」のハンディを意識したのか、日本に対して、5バックで後方を固める守備的な作戦で臨んできた。

 終盤、布陣を4バックに改め、攻撃的に転じた南アだったが、日本はこの戦いを最初からされていたら危なかった——とは筆者の印象だ。南アが日本を必要以上に警戒してくれたことが、最大の勝因になる。

 支配率は52%(南ア=48%)。相手が後ろで構えてくれたにもかかわらず、2%しか上回れなかった。60%対40%以上の関係になっても不思議はない設定なのに、互角なってしまった。

 続くメキシコ戦。支配率の低さはいっそう顕著になった。前半の支配率は42%対58%。2-0でリードしていたにもかかわらず、だ。後半はさらに酷くなる。その23分に相手に退場者が出て、数的優位の中で戦っていた。ところが、前後半トータルの支配率は逆に、41%対59%へと後退。さらに終盤、2-1とされる失点まで喫している。

 女子(なでしこジャパン)の場合は、男子以上に繋いでなんぼ、高い位置で奪ってなんぼ、のチームだ。少人数で決めきる身体能力に欠けるので、支配率で劣ることは、苦戦の原因そのものになる。

 だが、カナダ戦(=41%対59%)も、英国戦(=42%対58%)も相手に大きく劣った。ボール操作術、パスワーク、展開力を披露する回数より、披露される回数の方が多かった。大きな相手に、泡を食わせるのではなく、食わされてしまった。マイペースで試合をすることができなかった。

 問題は、森保、高倉両日本人監督とも、それを改善する術を知らなそうなことだ。試合中、ベンチの傍らに立ち、常時、指示を送る態勢を整えていた両監督。最悪でもハーフタイムに指示を出せたはずだった。

 両者とも、2試合続けてその姿を傍観したことになる。