0-1でリードされたマンチェスター・シティが、終盤、チェルシーゴール前に再三、押し寄せるもノーゴール。ポルトのエスタディオ・ドラゴンで行なわれた2020-21シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、プレミアリーグ4位のチームが優勝したチームを下すという波乱の結末で幕を閉じた。
昨季はPSG(パリ・サンジェルマン)の監督として決勝に進出。バイエルンに0-1で敗れたチェルシーのトーマス・トゥヘル監督にとっては、悲願のCL初制覇となった。一流監督の称号を見事、彼はたぐり寄せることに成功した。
しかし、この試合を手短かに語ろうとした時、まず取り上げたくなるのは、敗者の監督、ジョゼップ・グアルディオラだ。ボブ・ペイズリー、カルロ・アンチェロッティ、ジネディーヌ・ジダンに続く3度目のCL優勝。そんな栄誉を取り逃した監督、勝っていいはずの試合を落とした監督のほうが、キャラは格段に立っている。
それは誰もが知る元名選手であることと関係深い。「名選手、名監督に非ず」が常であるサッカー界にあって、グアルディオラはジダンとともに貴重な役を果たしている。選手よりキャラ立ちしているのだ。マンチェスター・シティと言われて、真っ先にイメージするのはグアルディオラ。ケヴィン・デ・ブライネではない。フィル・フォーデンでも、カイル・ウォーカーでも、イルカイ・ギュンドアンでもない。
それは勝者であるチェルシーにもあてはまる。トゥヘル監督は存在感でグアルディオラには劣るが、自軍の選手には勝っていた。
CL史上3回目のイングランド対決となった今回の決勝。試合のレベルはそれなりに高かった。1点先取した弱者(チェルシー)が逃げ切るという展開に、どれほど娯楽性があったか微妙なところだが、いわゆる決勝戦にありがちな凡戦ではなかった。面白かった試合にもかかわらず、その印象をひと言でいうなら「地味」となる。選手がすっかり駒と化したサッカー、キャラの立ちにくいサッカーを両軍が展開したからに他ならない。
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