2021年05月04日07時21分
新大会「欧州スーパーリーグ」構想が反発を受けた理由は、各国リーグ戦の価値を下げ、サッカーの伝統から逸脱していたからに他ならない。現在は欧州各国のリーグ戦で上位に入れば、欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場権を手にできる。つまり、どのチームにも欧州の頂点をつかむチャンスがある。番狂わせはスポーツが持つ醍醐味(だいごみ)の一つだ。
しかし、SLは創設15チームが固定され、残りの招待枠は5だけ。多くのチームにとっては欧州の大舞台とのつながりがほぼ絶たれ、国内リーグはタイトルを争うためだけの存在になる。
レアル・マドリード(スペイン)のペレス会長は「サッカー界のため」と熱弁したが、SLに出場しないチームにとって恩恵があるのかは明確にしなかった。こうした疑念も大きな反発の原因になり、SL創設発表から数日で大半のクラブが離脱する事態に。英紙タイムズは「1世紀以上の伝統を覆すはずだった革命は、72時間以内に崩壊した」と社説で記した。
SLをめぐる騒動が浮き彫りにした問題点もある。欧州CL出場チームは1990年代半ば以降、16から24、32と段階的に増えた。さらに欧州サッカー連盟(UEFA)は2024~25年シーズンから36チームに拡大すると発表したばかり。UEFAランキング下位国まで裾野は広がる一方で、近年は実力差がはっきりし、見応えに欠ける試合も目立つ。スペインのマルカ紙が約20万人を対象に行ったアンケートでは、約41%がSL創設に賛同。「量より質」を求めるファンの声は根強い。
SL構想は以前からくすぶっていた。今回は失敗に終わったものの、新型コロナウイルスの影響による財政難は現在進行中で、火種は残ったまま。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は「UEFAは生き延びたが嵐は終わっていない」と、欧州サッカー界が新たな財源を必要としている現実に変わりはないと指摘した。 (ロンドン時事)
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