世界の次世代ロケットが発射間近になってきた。23日、三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、次期基幹ロケット「H3」の試験機を初めて公開した。調達部品や製造方法を見直すなどして機体価格を約50億円と従来の半分に抑え、各国政府や企業からの衛星の打ち上げサービスの受注を目指す。米国の新興勢が台頭するほか、商業衛星大手の仏アリアンスペースも22年に次世代ロケットを投入する見込み。ロケットビジネスの競争はより激しくなりそうだ。
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あいにくの雨模様となった23日、名古屋駅から車で南に1時間弱の工場地帯にある三菱重工の飛島工場(愛知県飛島村)で機体の胴体が公開された。直径約5.2メートル、全長57~63メートルとなるH3はJAXAが三菱重工などと開発を進めており、現行の「H2A」よりも一回り大きい。クリーム色の胴体はデザインで、「余計なものをそぎ落としてシンプルにした」(JAXAのH3プロジェクトマネージャの岡田匡史氏)。グローバル市場を意識し、H2Aの胴体の「NIPPON」の文字は「JAPAN」に変わった。
エンジンの推力を上げ、タンクも大型化することで打ち上げ能力は約1.3倍上がり、放送や通信用衛星など6.5トン以上を静止トランスファー軌道(GTO)に打ち上げられる。今後機体は打ち上げ場所である鹿児島県の種子島に送り込まれ、移動発射台にロケット機体を組み立てる作業や試験に入る。
JAXAの岡田氏はH3について「衛星を入れる場所の容積を増やし、(多くの小型衛星を打ち上げて通信網をつくる)メガコンステレーションにも対応できる」と話した。世界では大型の衛星だけではなく、小型衛星を複数搭載するニーズが高まっている。
脱「1品もの」、電子部品の9割を汎用品化
H3はこれまで手薄だった民間需要を取り込むためにコストを重視。例えばロケットの電子部品。通常宇宙産業で使う部品は放射線への耐性などに対して耐えられるよう「1品もの」が多く、品質も厳しいため費用がかさんだ。H3では電子部品の9割を自動車向けに置き換えるなど汎用品化し、エンジンには3Dプリン...
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