英国では路上で充電できる設備が増えている=ロイター
【ロンドン=佐竹実、ニューヨーク=白岩ひおな】温暖化ガス排出の削減に向け、ガソリン車規制が世界各地で相次いでいる。英政府は17日、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を2030年までに禁止すると発表した。カナダのケベック州もガソリン車の新車販売を禁じる。中国なども規制に乗り出しており、電気自動車(EV)など新エネルギー車の普及が進みそうだ。
英政府は2月に規制目標を当初の40年から35年に前倒ししている。今回さらに早めることで環境配慮の姿勢を明確にする。ガソリンと電気を併用するハイブリッド車(HV)も、排出ゼロの規制をクリアしたもの以外は35年までに販売を禁止する。英国での19年の自動車の年間販売台数は約230万台だった。
英政府は50年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロとするため、EV化や再生可能エネルギーの促進など10項目に120億ポンド(約1兆6千億円)を投じる。
環境対策の目玉はEVの普及促進だ。13億ポンドを投じて路上や家庭の充電施設を整備し、購入補助金に5億8200万ポンドを充てる。EV向け電池の大量生産のためにも今後4年で5億ポンドを投じる。英国では日産自動車がサンダーランド工場でEV「リーフ」を生産しており、一連の投資で産業活性化も狙う。
カナダのケベック州は16日に35年までにガソリン車の新車販売を禁止すると発表した。商用車や中古車は規制対象から外すという。ルゴール州首相は「地球上の私たち全員が抱える巨大な課題に対処するために努力しなければならない」と述べた。
同州は大都市のモントリオールなどを抱え、人口はカナダで2番目に多い。今回の規制も含め温暖化ガスの削減に向け、5カ年で67億カナダドル(約5330億円)を投じる。予算の半分以上は個人や企業がEVを購入する際の補助金など運輸部門にあてる。充電施設の増設などにも使う。
環境保護に向けた「脱・ガソリン車」の動きは各地で相次いでいる。中国は35年をめどに新車販売のすべてをEVやHVなどの環境対応車とする方向で検討する。EVなど新エネルギー車とHVが新車販売に占める比率(台数ベース)をそれぞれ50%に高める。
米カリフォルニア州は9月下旬、35年までに州内での新車販売を排ガスを出さない「ゼロエミッション車」にするよう義務付けると表明している。
世界最大の自動車市場である中国を含む各地でガソリン車への規制が強まっていることをうけ、自動車各社も対応に乗り出している。
EVについてはトヨタ自動車は20年代前半に世界で10車種以上を展開する計画。日産自動車も23年度までに世界で8車種以上を投入する方針だ。欧州メーカーではフォルクスワーゲン(VW)が25年に世界販売の2割前後をEVとする方針を掲げている。
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