Pages

Monday, June 1, 2020

攻撃的な印象のスペイン・サッカーも、戦術の基本は「まず守備から」【小宮良之の日本サッカー兵法書】 - サッカーダイジェストWeb

 そして今シーズン、チャンピオンズ・リーグで欧州王者であるリバプールを撃破したアトレティコ・マドリーも、鉄壁のディフェンスを作り上げている。DF、MF、FWのラインの動きは緻密で力強く、いくつもの塹壕を掘って、そこから銃撃し、敵を待ち構えているかのような錯覚を受けさせる。すべてを乗り越えてきても、“本営”には守護神ヤン・オブラクが最後の牙城を守っているのだ。

 アトレティコの強みは、苛烈な攻撃を受けた後、反発できる点にあるだろう。ディエゴ・シメオネ監督が長年をかけて作り上げた練度は高く、相手のミスを見逃さない集中力と、乗じる賢さがある。90分間の勝負の中で、少しも気持ちを切らさず、どこかで逆転できる(逆に相手の反撃にも警戒)と腰を据えているのだ。

 守備の安定は、精神面でのアドバンテージにも通じるだろう。

 有名な「戦争論」の著者でプロイセンの軍人だったカール・フォン・クラウゼビッツは、軍略の基本をこう述べている。

「防御は攻撃よりも強力な戦争形式である。それは消極的な目的であるかもしれないが、防御が優位な形式である以上、それは有利であることを意味している。したがって、防御を持って始まり、攻勢を持って終わるのが、戦いのあるべき姿である」

 サッカーの戦術は、軍事的な駆け引きの派生であるとも言われるが、攻守の理論は同じだ。

 華々しい攻勢にこそ、サッカーの浪漫はある。それは「得点を多くとった方が勝ち」というルールの特性上、然るべきだろう。しかしながら、防御を怠ったチームに勝利への道が示されることはないのだ。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。

Let's block ads! (Why?)



"サッカー" - Google ニュース
June 01, 2020 at 05:38PM
https://ift.tt/3doipBd

攻撃的な印象のスペイン・サッカーも、戦術の基本は「まず守備から」【小宮良之の日本サッカー兵法書】 - サッカーダイジェストWeb
"サッカー" - Google ニュース
https://ift.tt/2TfEgDu
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment