日立製作所は、AIなどのデジタル技術を活用してさまざまな現場機器の保守業務を高度化する「修理リコメンデーションサービス」の開発を進めている。ATM(現金自動預け払い機)の保守業務を担う日立システムズと共同で実証を行い、二次問診(ディスパッチ)での交換部品選定に要する時間を38%削減するなどの成果が得られたという。
日立製作所(以下、日立)は、AI(人工知能)などのデジタル技術を活用してさまざまな現場機器の保守業務を高度化する「修理リコメンデーションサービス」の開発を進めている。日立グループ傘下で、金融機関などに設置されているATM(現金自動預け払い機)の保守業務を担う日立システムズと共同で同サービスの実証を行い、二次問診(ディスパッチ)での交換部品選定に要する時間を38%削減するなどの成果が得られたという。今後日立システムズは、ATMの保守業務に同サービスを本格適用していくととともに、さまざまな業界の保守業務の効率化に同サービスを提案していく方針。日立としては、日立グループにおける保守業務への浸透を広げるとともに、2021年度からは「Lumada Solution Hub」の1つとして展開していく構えだ。
保守現場を苦しめる三重苦
修理リコメンデーションサービスは、機器の不具合事象やその際の機器の状態に関するデータ、稼働履歴データ、部品や消耗品の交換、調整・清掃などの対処内容を含む修理履歴データを基に、AIをはじめとする最適なアルゴリズムを組み合わせて分析モデルを構築し、新たな故障の発生時に完治率の高い最適な修理の箇所や方法を自動で提案するサービスだ。日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット 制御プラットフォーム統括本部 デジタルソリューション事業開発部 主任技師の樋口隆太郎氏は「現在の保守現場には、スキル継承、設備長期維持、修理・点検コスト増大という3つの課題がある。これらの課題解決に向けて開発したのがこのサービスだ」と説明する。
実際に保守現場は、少子高齢化によって人員不足に陥っており、熟練者のスキルやノウハウが継承できていない。また、導入した設備を長期で維持・利用したいという顧客の意向が強く、老朽化による故障と、この故障を防止するための点検の頻度がともに増加している。そして、人手による遠方設備の点検や不要な人員派遣、再修理率の高さ、これらと合わせた膨大な報告作業(システム入力)など、保守業務そのものの効率化の難しさによりコストも増大している。これらの三重苦からの解放が求められているというわけだ。
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May 11, 2020 at 08:00AM
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