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Thursday, March 19, 2020

世界で延期・中止拡大 サッカーの綱渡り日程に打撃 - 日本経済新聞

英国で行われていたバドミントンの全英オープンで日本選手が大活躍し、ダブルスで男女とも優勝を飾ったことを伝えるテレビのニュースは、どこか遠い世界の出来事のように思われた。スタンドを埋めた観客や、日本から訪れたファンの歓声が響きわたっていたからだ。

新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」で、いまやオリンピック東京大会(7月24日開会式、8月9日閉会式)の延期の可能性にも向き合わなければならなくなった。欧州では、オリンピックと並ぶ今夏最大のスポーツイベントであるサッカーの欧州選手権(EURO)の1年間延期が決まった。南米でも、6月にコロンビアとアルゼンチンで開催予定だった南米選手権(コパ・アメリカ)が1年間延期されることになった。

EURO2020のロゴが飾られたUEFAの本部。UEFAは17日、EUROの1年間延期を決めた=AP

EURO2020のロゴが飾られたUEFAの本部。UEFAは17日、EUROの1年間延期を決めた=AP

EUROは4年に1回、ワールドカップの中間年に行われる欧州のナショナルチームの選手権。今回は24チームが出場し、史上初めての12カ国広域開催となり、開幕はローマで6月12日、決勝はロンドンで7月12日の予定になっていた。しかし3月中旬になってイタリアとスペインを中心に各国で新型コロナウイルス感染者が急激に増加したことを受け、欧州サッカー連盟(UEFA)は3月17日に緊急会議を招集、1年間の延期を決めた。

感染が最初に広がった中国に近い日本では、横浜に寄港した大型クルーズ客船の対応で2月初め以来大騒ぎとなり、2月下旬から本格的な対策が取られたが、そのころには極東を除く世界の各国では「対岸の火事」だった。しかしそれからわずか2週間ほどで、世界は根本から変わってしまった。

感染の拡大を防ぐため、世界各国で多くの人が集まるスポーツイベントが中止あるいは延期に追い込まれている。日本ではJリーグは2月25日に決めた「3月15日までの公式戦延期」をさらに2週間余り延ばしたが、目標としている4月3日再開も難しい状況にある。今回は、世界のサッカーがどんな状態になっているか、概観してみたい。

J1は2月23日に終えた第1節を最後に公式戦の中断が続く=共同

J1は2月23日に終えた第1節を最後に公式戦の中断が続く=共同

なお、今回の記事のデータは、主に「国際スポーツプレス協会(AIPS)」のホームページに掲載され、数時間ごとにアップデートされている各国からのリポートに依っている。世界中のスポーツジャーナリストが加盟する同協会。各国に散らばる会員が簡潔にまとめたコロナウイルスのスポーツへの影響に関するリポートは、いま世界がどうなっているのかを俯瞰(ふかん)するのに最適な資料だ。(https://www.aipsmedia.com/index.html)

まず「震源地」であるアジア。2月6日のこのコラムではアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の東地区と女子のオリンピック予選への影響をリポートしたが、イランでも感染が広まったためACLの3月の試合は西地区でも中止となり、アジア・サッカー連盟(AFC)は今季のACLの日程の大きな変更を迫られている。果たして今年の大会をきちんと終えることができるか、不透明な状況だ。また3月に予定されていたワールドカップ・アジア2次予選も、すべて延期となった。

もちろん、東西を問わず、アジア各国の国内リーグも中断あるいは開幕延期の状態にある。日本ではJリーグ各クラブは練習を継続しているが、アフガニスタンやイラクなど政府が「すべてのスポーツ活動」を停止させた国もあり、トレーニングできない選手も多い。

イタリア、スペインを中心に深刻な感染拡大の状況にあるヨーロッパでは、当初は「無観客」でリーグ戦を継続した国が多かった。しかしイタリアのセリエAをはじめプロ選手の感染も発覚、現在では、3月いっぱい、あるいは4月中旬までのリーグ中断となっている国が多い。ただ、シーズンが終盤にさしかかっているため代替開催日を確保することが難しい状況だ。

9日に無観客で行われたイタリア・セリエAの試合=AP

9日に無観客で行われたイタリア・セリエAの試合=AP

ヨーロッパサッカーの「華」である欧州チャンピオンズリーグ(CL)は、無観客でラウンド16の1回戦を行ったが、2戦目は途中で延期になった。決勝戦は5月30日、イスタンブール(トルコ)の予定だが……。

南北のアメリカ大陸も、急速な感染拡大にスポーツは大きな打撃を受けている。北中米カリブ海サッカー連盟は、4月中旬までの連盟主催の公式戦をすべて延期。3月20日から4月1日までメキシコのグアダラハラで開催予定だったオリンピック東京大会の最終予選は無期延期となった。ちなみにオリンピックの男子サッカーは出場16チーム中14チームがすでに決まっており、北中米カリブ海代表2チームの決定を待つだけとなっている。

南米では、欧州のクラブに所属する選手の帰国が難しいため、3月下旬にスタート予定だった2022年ワールドカップの予選2節がすべて延期となった。

南米各国は国内の感染者が比較的少ないこともあり、ブラジルやアルゼンチンでは無観客でリーグ戦が継続されていた。しかし「選手たちの健康に対する配慮が足りない」と不満を表明する声も大きく、アルゼンチンの名門リバープレートは自主的にスタジアムの閉鎖を断行、相手チームが締め出されるという一幕もあった。またブラジルでは、本田圭佑(ボタフォゴ)のデビュー戦でボタフォゴの選手たちがマスク姿で入場、試合を続けさせることに抗議し、翌週からの試合は延期となった。

まともにサッカーできている地域なし

比較的感染の流行が少ないのがアフリカである。エジプトなど通常どおりにリーグ戦を続けている国もある。しかしアルジェリアやモロッコなど北アフリカの国では、サッカーだけでなくすべてのスポーツを停止中だという。アフリカ・サッカー連盟は3月下旬に予定されていたアフリカ・ネーションズカップの予選をすべて延期することを決めた。

こう見ると、現在、世界でまともにサッカーができている地域などほとんどないことがわかる。現在の世界のサッカーはぎりぎりの日程のなかで綱渡りのようにリーグ戦や各種大会が行われており、数週間の中断でも予定されていた試合を消化するのは非常に大きな困難を生む。しかし健康な社会(ファン)と健康な選手があってのスポーツであり、サッカーであることを忘れてはならない。ファンや選手を犠牲にせずにこの困難を乗り切る措置を、各国のリーグや大会主催者に期待したい。

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