政府は3日、与党の自民党と公明党の会合で経済対策案を示した。災害からの復旧・復興、経済の下振れリスクへの対応、来年の東京五輪後も見据えた経済活力の維持や未来への投資を柱とし、「アベノミクスのエンジンを再点火して、デフレ脱却と経済再生への道筋を確実なものにする」と強調した。国が低利資金を供給する財政投融資などを含む財政措置を13兆円程度とする方向で調整。自民党の岸田文雄政調会長は同日、「(民間企業の支出分などを加えた)事業規模は25兆円程度になる」と述べた。
政府は与党との調整を進め、5日の臨時閣議で対策を決定する。裏付けとなる令和元年度補正予算案と2年度当初予算案を一体編成し関連費用を計上する。
平成28年8月に決定した前回の経済対策(財政措置13兆5千億円、事業規模28兆1千億円)に匹敵する規模となる。財政措置13兆円程度のうち、国の一般会計からの支出は補正予算案で4兆円超、当初予算案で1兆円台後半を手当てし、計6兆円程度となる見通し。さらに特別会計を活用して1兆円台半ば程度を確保する。地方の負担は1兆円台半ばを超えそうだ。財投は3兆円台後半とし、インフラ整備などに振り向ける。
対策案では、復旧・復興に関して、10月の台風19号などの被害を踏まえ、河川の水位上昇を防ぐ川底掘削や堤防強化など治水対策に重点を置いた。市街地の緊急輸送道路の無電柱化なども進める。
経済の下振れリスクへの対応では、中小企業の生産性向上のための環境整備、海外の需要増が期待される和牛や酪農の増産に向けた体制整備などに言及した。
東京五輪後の活力維持や未来への投資では、第5世代(5G)移動通信システムの普及後を見据えた「ポスト5G」の基盤強化対策、高齢運転者による事故多発を踏まえ自動ブレーキなど安全機能を備えた「安全運転サポート車(サポカー)」の購入支援、小中学校で令和5年度までにパソコンを1人1台活用できる環境の実現を目指す。個人消費の下支えのため、2年9月から3年3月末までマイナンバーカードを活用したポイント還元を行う。
2019-12-03 10:33:00Z
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