政府は5日、国や地方からの財政支出が13.2兆円となる経済対策を閣議決定した。民間の支出も加えた事業規模は26兆円になる。東京五輪後まで見据えた成長分野への投資、自然災害対策を含むインフラ整備、景気の下振れリスクへの備えが3本の柱だ。関連経費を2019年度補正予算と20年度当初予算に計上する。
臨時閣議に臨む安倍首相(5日、首相官邸)
政府が経済対策を打ち出すのは16年8月以来3年強ぶりだ。前回の財政支出は13.5兆円、事業規模は28.1兆円で、今回はいずれも前回に匹敵する。
政府は「景気は緩やかに回復している」との基本認識は変えていない。ただ19年10月の消費増税による消費の冷え込み懸念や、米中貿易摩擦など国内外の下振れリスクは強まっている。安倍政権として経済の不確実性の高まりに先手を打ち、手厚い対策をとる。
与党でも財政支出の規模を増やすべきだとの要望が多く、大型の経済対策となった。
財政支出のうち、国費は7兆円台半ばだ。そのうち一般会計は6兆円程度、特別会計は1兆円超を占める。国が出す財投債を通じて産業分野にお金を使う財政投融資は3兆円台後半、地方費は1兆円台後半を充てた。
公共投資には6兆円を投じる。一般会計やインフラ関連の財政投融資などで捻出する。公共事業に使い道を限る建設国債や予算の剰余金なども使う。台風19号の被害を踏まえ、氾濫発生の危険性が高い河川の川底を掘削したり、堤防を再整備したりする。緊急時の輸送に使う市街地の道路の無電柱化なども進める。
景気の下支えでは、中小や小規模事業者の生産性を高めるための補助金、最低賃金引き上げを促す支援事業などを盛り込んだ。日米貿易協定の発効で米国への牛肉の低関税輸出枠が広がるのを見据え、畜産施設の整備支援を拡充する。「就職氷河期世代」の就労を後押しする枠組みもつくる。
成長分野への投資は、超高速通信規格5Gの次の世代にあたるポスト5Gの開発、米国の月探査計画へ参加するための研究開発費などに充てる。
2019-12-05 09:39:58Z
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