村田製作所は、Lキャンセルトランス「LXLC21シリーズ」を開発、量産を始めた。負の相互インダクタンスを活用し、接続されたコンデンサーのESL(等価直列インダクタンス)を打ち消すことで、コンデンサーのノイズ除去性能を高めることができる。
» 2024年05月16日 10時45分 公開
少ないコンデンサー数でノイズを抑制、省スペース化も可能に
村田製作所は2024年5月、Lキャンセルトランス「LXLC21シリーズ」を開発、量産を始めた。負の相互インダクタンスを活用し、接続されたコンデンサーのESL(等価直列インダクタンス)を打ち消すことで、コンデンサーのノイズ除去性能を高めることができる。電源回路の省スペース化や安定した電源ノイズ除去を可能にした。
電子機器は高性能、高機能化などにより、数多くのICが高密度実装される。ここで課題となるのがスイッチング電源のノイズ対策である。一般的には、電源線とグランドの間にコンデンサーを設ける方法でノイズを抑える。ただ、高調波領域では、ESLと呼ばれるコンデンサー内の寄生成分により、インピーダンスが高くなってノイズ除去性能が低下する。これを回避するため、複数のコンデンサーを並列接続して対策をするが、実装スペースの確保が課題となっていた。
LXLC21シリーズは、負の相互インダクタンスを活用した電源回路用ノイズ対策部品である。ノイズ対策用コンデンサーや電源線とグランドの間の配線に寄生するインダクタンス成分を相殺することで、数MHz帯から1GHzまで高調波領域の電源ノイズ対策を可能にした。電源回路に新製品を1個組み込むだけで、ノイズを抑制することができるという。このため、これまでよりも少ないコンデンサー数で済み、回路基板の実装スペースも節減できる。
LXLC21シリーズの主な仕様は、外形寸法が2.0×1.25×0.95mm(2012サイズ)、負のインダクタンスは0.9nH(代表値)、定格電流は最大3.0A、直流抵抗(DCR)は最大55mΩ、使用温度範囲は−55〜125℃。AEC-Q200にも準拠している。
LXLC21シリーズは、基地局やFAシステム関連などの産業機器、インフォテインメントなどの車載機器、デジタル家電やPCなどの民生機器および、医療機器といった電源回路の用途に向ける。
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